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ゲームプランナー集中講座 ゲーム作りはテンポが9割(SBクリエイティブ)吉沢 秀雄

とても参考になる本でした。


引用と感想

 アイデアを考えた時は、そのアイデアをプレイしている時のことを頭の中に思い浮かべて検証するわけですが、この時重要なのは「動画で考える」ってことです。(略)自分が遊んでいるとどんな気持ちになるのかを想像するのです。この脳内シミュレーションをずっと続けていると、ある時、「おっ!」と思って心が動く瞬間が訪れるのです。

 このように言葉でなく、位置や配置などでメッセージを伝えることが重要です。言葉で伝えた場合、それはそれ実行するだけの「作業」になってしまいます。しかし仕様で伝えた場合は、プレイヤーが自分で気づいて解いた気分が味わえるので数段達成感や満足感が高まるのです。

 他のゲームとは違ったテンポに惹かれて遊び続けたプレイヤーも、次第にそのテンポに慣れてしまい、新鮮さを失って飽きてしまうのです。そうならないために、今まで遊んで身に着けてきたプレイ技術はそのままに、しかしテンポの違う遊び方を提示するのです。すると今までのプレイでマンネリになっていた遊びが、再び息を吹き返し、新鮮さを取り戻すのです。

 せっかく一から新しくゲームを創るのですから、すでに存在するゲームの亜流とかではなくて、まだ存在しないもの、体験したことのないこと、見たことのないもの、味わったことのないおもしろさ、感じたことのない触感を探し求めてほしいですね。
 前にも述べましたが、100%新しいものという意味ではないですよ。何とか新しさが入れられないか、何とか違った切り口にできないか、違った感触でやれないか、を追い求めていくのを続けようということです。常に自分が創るものが人にどんな未知の体験を提供しているのかを意識してください。

 この世に同じものはふたついらない。この世にないものを創ろう


どうやってゲームを創ればいいのかがよくわかる本でした。


タイトルにも入っている通り、ゲーム作りはテンポが9割だと著者は述べています。本の中でも、「テンポ」という言葉がことあるごとにでてきます。とにかくテンポが重要で、テンポを基準にしてゲームは作らなければいけないと言っています。


どのようにテンポを作るのか、どのようにテンポをよくするのか、どのようにテンポを相手に伝えるのか…テンポについて多くの記述があり、とても勉強になりました。



最後に


ゲームを作りたいと考えている方は、この本はとても参考になり、モチベーションを上げる材料にもなると思いました。おすすめです。


個人的 朝井リョウ小説ランキング

朝井リョウ氏の小説を勝手に順位付けしました。

1位 何者

現代の大学生の就活を描いた直木賞受賞作品です。1番好きです。

だから、俺は絶対に言ってやらない。

2位 もういちど生まれる

5人の若者を描いた短編集です。個人的にかなり好きな作品でした。気持ちはすれ違うものですよね。

もういちど生まれたみたいだった

3位 スペードの3

女性の意地悪さとそれに伴う社会的評価を描いた作品でした。黒い感情が渦巻く女性の人間関係は恐ろしいですね。

これは呪いだ。

4位 星やどりの声

父親を亡くした7人家族の話です。家族愛がひしひしと伝わってきて、心を揺さぶられました。

その人に消火器とか向けだしてホントもう意味わかんない

5位 世界地図の下書き

施設で暮らす子供たちの話です。この話はいじめがテーマになっていて、読んでいてつらくなるシーンが多くありました。現実と希望について考えさせられる作品でした。アニメ化されたらいいなと勝手に思いました。坪田譲治文学賞受賞作品です。

ユーレイみたいなんよ

6位 武道館

アイドルの恋愛を描いた作品です。アイドルの内情を描いていて面白かったですが、実際のアイドルはもっとドロドロしていて複雑だと思います。

私は、何も変わっていないんです

7位 ままならないから私とあなた

ままならない人間を描いた作品です。感情を揺さぶられるストーリーで楽しめましたが、内容はそこまで深くないかなと感じました。

今の世界にずっといられるかどうかなんて、誰にもわかんない

8位 チア男子!!

チアリーディングをする男子大学生の物語です。この本を読むまで、男性がチアリーディングをする文化があることを知りませんでした。「男子チアリーディング」という題材で作品を書くのはとても大変だったと思います。キラキラした青春ものが好きな方にオススメです。

世界で一番美しい形で土下座をしていた。

9位 桐島、部活やめるってよ

よくわからない…。文学って感じ?カーテンの描写が印象に残りました。すばる新人賞受賞作品です。

10位 少女は卒業しない

どこもかしこもリア充ばかり。全然面白くありませんでした。7名の少女の恋愛物語を描いた短編集なのですが、私には合いませんでした。女性が読むと面白いのかもしれません。

返したら、もう、終わりなんですよね

番外編 時をかけるゆとり

著者のエッセイ集です。面白いです。リア充です。

エンジョイ♪




新しい作品を読み終わり次第追加していきます。

なぜ人はゲームにハマるのか(SBクリエイティブ)渡辺 修司 中村 彰憲

引用と感想

ゲームの定義は技術によって変化する。

ゲームを定義することは難しいことのようです。さやわか氏は著作「僕たちのゲーム史」の中で、ゲームとは「ボタンを押すと反応するもの」という定義をしていました。これも、必ずしも正しい定義ではないのかもしれません。ボタンを押さないでも反応するゲームはありますからね。技術によって変化するという定義が正しいのかもしれません。

ゼビウス」によって世界観とストーリーを設定することが主流になった。

ゼビウスはプレイしたことがないので詳しくはわかりませんが、世界観とストーリーはゲームを盛り上げる要素として重要だと思います。

サイトウ・アキヒロにより、ユーザーインターフェイスに関するノウハウは体系化された。これはゲームニクスと呼ばれている。

ゲームニクスという言葉を初めて知りました。最近のゲームはゲームニクスに基づいて作られているものが多いようです。

三人称視点は、ゲームで身体の役割をするキャラクター(拡張身体)から考えても、明らかに別の位置から見る視点でである。しかし私たちの脳は、その視点を習得することができる。これは「脳による視点の再学習」と言える。

この本で一番興味深かったのが拡張身体という概念です。マリオであっても、テトリスであっても、”自分の身体をゲーム上の対象物に拡張させて動かしている”らしいです。

ゲームを作る行為は、「現実世界とはまったく異なる世界を新たに作り出す」ことではなく、現実世界の人間の身体の特性、また世界や作用空間の特性との相互関係を理解し、その理解を基盤として、プレーヤーにとって分かりやすい形に抽象化された身体や世界を提供すること。

これは意外でした。現実世界と異なる空間を作り出すものだと思っていましたが、違うようですね。

人は少しだけ難易度が高い方向を目指す

ゲーム制作において難易度バランス調整は最終段階に行うが、難易度バランスをどのように提供するかは、ゲーム企画そのものに直結する重要な要素である。

ゲームは、ゲームデザイナーが想定しない効率予測を、プレイヤーが発見する可能性を常に帯びている。

TASのfastest crashやマリオのロースコアクリアなどの縛りプレイがまさにそうですね。



最後に

勉強になる本でした。「ラピッドリバー」という川下りゲームが本の中に出てきて、小さいころゲームセンターで見かけた記憶がよみがえりました。(゚∀゚)



本の追加解説ページ
online.sbcr.jp

火花 (文春文庫)又吉直樹

面白かったです。

商品の説明

売れない芸人の徳永は、天才肌の先輩芸人・神谷と出会い、師と仰ぐ。神谷の伝記を書くことを乞われ、共に過ごす時間が増えるが、やがて二人は別の道を歩むことになる。

Amazonより引用

感想(微妙にネタバレあり)


私は純文学をあまり読まないので、純文学的な面白さに関してはよくわかりません。ですが、ところどころに出てくる独特な表現を面白いと感じることができました。特に始まりの文章

大地を震わす和太鼓の律動に、甲高く鋭い笛の音が重なり響いていた。

はとても美しい文章だと思いました。



この小説は、売れている芸人が芸人を描いた作品になっています。主な登場人物である徳永と神谷は2人とも芸人で、ストーリーのいたるところでボケと突っ込みを繰り広げます。売れている芸人が芸人のことを書いたから面白かったのか、又吉直樹氏の文章力がすごいから面白かったのかどうかわかりませんが、ストーリーの中にちりばめられたボケと突っ込みのやり取りはクスッとくるものも多かったです。

「会話になってもうとるやんけ」




最後は悲しい終わりだったのですが、個人的にあの終盤のストーリーは凶悪なバッドエンドだと思いました。神谷の選択した行為の意味がまったくわかりませんでした。人が亡くなるとかそういった一般的なバッドエンドとは異なる、新しいバッドエンドを見せられて、戸惑いと感動を覚えました。理解できない人間の奇妙さに、嫌悪感を抱きました。


中盤までは神谷のことを理解できる気がしていたのですが、終盤のあの行動は本当に理解できませんでした。これまで言ってきたことと逆の行動を自分で正当化していて、まったく共感できませんでした。あの終盤の行動で、神谷のことが嫌いになってしまいました。

こいつは何を考えているのだろう。

最後に

面白いので、読む価値あります。文庫化されて安くなってます。GW文春祭りセールで、50%ポイント還元になっています。(2017年5月4日(木)23時59分(日本時間)まで。)


「地下室の手記」(光文社古典新訳文庫)ドストエフスキー 安岡 治子

 言うまでもなく、友人たちとの親交は長続きしなかった。あっという間に仲違いし、若気の至りでまるで絶好でもしたように連中に挨拶することさえ止めてしまった。もっとも、そんなことは、たった一度きりのことだったのだが。そもそも俺は、いつも一人ぼっちだったからな。
 家ではもっぱら読書三昧だった。外からの刺激で、己の内に絶え間なく煮えたぎっているもののすべてをなんとか抑えこみたかったのだ。そして俺にとって実行可能な外からの刺激と言えば、読書しかなかったのである。もちろん読書は大いに役に立った。興奮も、喜びも、苦しみも与えてくれた。しかし、恐ろしいほど退屈な時もあった。
95,96p


虚しくて悲しい小説でした。



主人公がとにかく嫌われる人間で眉をひそめたくなる行動や、あきれてしまうような発言ばかりします。ここまで性格が曲がってしまっている理由はよくわかりません。犯罪を犯すわけではないのですが、モラルの欠如がはなはだしいです。ほんとうにどうしようもないだめな人間です。


誰しもこの主人公と同じような一面を持っていると思いますが、この主人公ほどひどくはないでしょう。


なぜこんな人間になってしまったのでしょうか。なぜこんな人間なのでしょうか。


生きていることが不幸であるかのような生活。


私が考えるに、この主人公は何をしても怒るのだろうと思います。怒ることに理由があるわけではなく、理由もなく怒ってしまう。プライドが高いけど、何もできないダメなやつ。


友達もいない、出世もしない、恋人もいない。貧乏で、卑屈で、プライドが高い。常にイライラしていて、頭の中で嫌いな人間に仕返しすることを考えているけれど、臆病なのでできない。頭の中では他人を見下しているけれど、態度に示せない。誇大した自己に耐えられず、暴言を吐いてみるけれど、相手にされない。暴言を吐いても相手にされないので、さらにイライラする。





私は、すべての人間が幸せになってほしいと漠然と願っていますが、この主人公のような人間を幸せにする方法は思いつきません。このような人間を救ってくれる人間(社会)は存在するのでしょうか。


そもそも、この主人公にとっての幸せはどこにあるのでしょうか。


もしかしたら、この主人公は「怒ること」自体が幸せで、それ以外の行動に自分の価値を見出せなくなっているのかもしれません。仮にそうであったとしたら、この主人公を救うことはできないのかもしれません。救おうとするだけ無駄で、常に犯罪予備軍として社会から監視され、管理される立場で居続けなければいけない存在なのかもしれません。このような人間は存在している理由もなく、存在している価値もなく、邪魔な存在でしかないのかもしれません。誰の利益にもならないし、迷惑ばかりかける。


私はこの主人公の人間としての価値を見出せませんでした。




しかし、社会にはこのような人間が存在していて、今もどこかで生きているのでしょう。



そんなことを考えると、虚しいですね。



とにかく虚しい本でした。


















ブログ訪問ありがとうございます(=゚ω゚)ノ