「知能はどこから生まれるのか? 」大須賀 公一 を読んだ感想

大阪大学の先生をしている著者が「知能とはどういうものか?」という疑問について答えた本です。

この本は「環境こそが知能の源泉である」という主張について書かれています。それがこの本の内容の全てです。

ただし「本書で述べている知能はあくまでも源泉であり知能全体ではない」とも言っています。

つまりこの本は「知能の源泉は環境である」と言っているだけの本です。それ以上でもそれ以下でもありません。






本には、著者のこれまでの研究や、携わってきたプロジェクト、作ってきたロボット、制御工学の基本などが書かれています。「知能の源泉は環境である」という主張を裏付けるための補足的な説明をひたすらしています。


「知能を感じる条件は、適度な予測不可能性である」
「知能があるから知能を感じる」のではなく「知能を感じるから知能の存在を確信する」


などの様々な主張を統合した結果「知能の源泉は環境である」という結論を導いています。





本を読んだ感想は、なんかざっくりしているというかふわっとした内容の本だなぁ・・・でした。

著者も本の中で

今回私がたどり着いた結論「知能の源泉は環境にある」は、非常にシンプルで「はい?たったそれだけですか?」というようなものであるが~

と語っています。書いた本人もあっさりした結論になっていると思っているようです。

ただし

これまで行ってきた研究はすべてこの結論を出すための準備だったと実感する

とも述べているので、著者としてはこの結論は長い年月をかけた研究の集大成でとても満足しているようです。


長い年月をかけた結論としてはとてもあっさりしていますが、私は内容としては納得できました。長い年月をかけて導き出した結論が複雑なものであるとは限りませんからね。

著者の研究に関しての失敗談や成功談は読んでいて興味深く面白かったです。

ただ、読む価値のある本かと聞かれるとちょっと微妙かな・・・と思いました。結論があまりにもシンプル過ぎて特徴がなさすぎる気がしました。研究のこまごました話もあまり詳細に書かれておらず、さらっと触れる程度のものが多かったので、深い話が読みたい私には消化不良でした。

つまらなかった訳ではないですが、期待していたほど面白い内容ではなかったです。本のタイトルが壮大な割には小さくまとまった内容でした。ちょっと残念です。

まあまあな本でした。