論文 体罰を完全に禁止している国では若者の暴力が少ない

Corporal punishment bans and physical fighting in adolescents: an ecological study of 88 countries

Frank J Elgar, Peter D Donnelly, Valerie Michaelson, Geneviève Gariépy, Kira E Riehm, Sophie D Walsh, William Pickett



体罰を完全に禁止している国では若者の暴力が少ない


bmjopen.bmj.com




概要

国際レベルで、体罰禁止と若者の暴力の関連性を調査をした。
低所得から高所得の国88か国を対象とした。
学生の健康調査は学校を基準にした。


結果

頻繁なけんかの発生、は女性(2.8%, 95% CI 2.5% to 3.1%) より男性 (9.9%, 95% CI 9.1% to 10.7%) の方が一般的であり、コスタリカの女性0.9% (95% CI 0.8% to 0.9%) からサモアの男性34.8% (95% CI 34.7 to 35.0) まで、国によって変化が大きかった。体罰が禁止されていない20か国と比べると、体罰が完全に(学校でも家でも)禁止されている30か国は、女性のけんか発生率42%男性のけんか発生率69%だった。体罰が部分的に禁止されている(学校では禁止されているが家では禁止されていない)38か国は、女性のけんかだけ少なかった(禁止されていない国と比べて56%)。


結論

国による体罰の禁止は、若者の暴力の減少に関連があった。データの限界と研究の設計のため、体罰の禁止が子どもの規律を早めるのか、若者の暴力を阻む社会環境を反映するのかどうか不明である。しかしながらこの結果は、体罰を禁止している社会は、若者が成長していない社会に比べて暴力が少ないという仮説を支持するものである。