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ひきこもり小説「最後の家族」村上龍

この本は、ツイッターでFFさんに教えてもらった本です。



ひきこもりの私にとって、この小説はとても面白かったです。著者は村上龍ですが、読みやすい本だと思いました。段落のない文章が長々と続くようなものではなく、会話が多かったです。






主人公の内山秀樹は引きこもりです。



大学受験に失敗し、一浪した後、第一第二志望校を落ちて二流の大学へ進学する。しかし、同級生と馴染めず、ストーカーという噂を流されて大学へ行かなくなり、部屋に引きこもるようになる……。


家族構成は父親・母親・主人公・妹の4人家族で、父親はサラリーマン、母親は専業主婦、妹は高校3年生の受験生という設定です。主人公は引きこもりになって1年半です。






気になった部分を引用させてもらいます。



辞める、っていうのと、誰かがおれを辞めさせようとしてる、って全然違うでしょう。辞めようかなっていうのは、自分が一度選んだことだっていうのが、曖昧になってしまうんだよね。別に最初からそんなにやりたいわけじゃなかったし、って思えるんだよ。単調な仕事に飽きて、いやになったときに、どう思うかだよ。自分はこの仕事をやりたい。でも誰かがぼくを辞めさせようとしている。そう思うようにしたら考えが変わったんだ。

あとはと、これか。あなたの夢を書いてください、ときたか。日本一の大工になることだよ。世界一は無理だよ。家の建て方が違うんだから

悲しみが大きすぎて自分を失う人はいるが、寂しさで自分を失う人はいない。そういうのは、よっぽど弱い人だ。寂しさで息ができなくなることはない。悲しみをいやしてくれるのは結局時間だけだが、寂しさはそうじゃない。悲しいより寂しいほうがいい。

引きこもりは家族だけでは解決できないということだ。家族の結びつきや愛情だけでは、解決はおろか、引きこもりについて考えることさえできない。しかも、誰かが介入してくれるのを待っているわけにはいかない。だからいずれにせよ問題をオープンにする必要がある。

他人のことは放っとけばいい。だからおれのことも放っといてくれ。それが引きこもりを支える基本原則だ。それは正しい。他人のことは放っとけないーどうやらそれがこの社会の原則らしいが、それはクソだ。

就職について、あるいは収入について、引きこもりが考えていないわけがない。このままの状態を続けて親が死んだらどうなるのだろうと考えない引きこもりはいない。ホームレスになるんじゃないかという恐怖も強い。

おれもそのことばかり考えていた。オヤジの会社が大変なことになってるというのも知ってるし、プレッシャーだった。親が死んだらどうするのか。どうやってもその想像から逃れられない。引きこもりはその想像から逃れるために、ありとあらゆることをやる。






家族のすれ違いを上手く表現していて、とても面白かったです。ひきこもりとひきこもりのいる家族が何を考えているのかがわかって、参考になりました。考えていることがすれちがっているというのは、当事者では自覚しにくいことです。



私は登場人物の中で延江と近藤が好きです。2人共、自分は自分、他人は他人という考え方をもっているからです。他人に依存していません。立派だと思いました。





"自分が自立することで救われる他者がいる"



ひきこもり当事者とひきこもりが家族にいる人は読むべき本だと思いました。


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