「現代語訳 学問のすすめ」(ちくま新書)福澤諭吉 齋藤孝 を読んだ感想その6

 したがって、国民が政府にしたがうのは、政府が作った法を破るのではなく、自分たちが作った法を破るということなのた。その法を破って刑罰を受けるのは、政府に罰せられたのではなく、自分たちで定めた法によって罰せられたのだ。

77p


これ自体に異論はないですけれど、公務員が悪事を働くこともあるので、完全に納得できるものでもないですね。犯罪の検挙率の高さによって冤罪が生まれているという事実もあります。


でもある程度仕方ないことか…。



 人を殺すのも捕えて死刑にするのも政府の権力による。盗賊を捕まえて刑務所に入れるのも政府の権力による。訴訟を裁くのも政府の権力による。乱暴や喧嘩を取り締まるのも政府の権力による。これらのことについて、国民は少しも手を出してはならない。
 もし、心得ちがいをして、自分で勝手に犯罪者を殺し、あるいは盗賊を捕えてこれを鞭打ったりすれば、国の法を犯して、勝手に他人の罪を裁いたことになる。これを「私裁」という。許されないことである。

78p


ネットの発達によって「私裁」がよく起きているように感じます。最近もツイッターで見ました。

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レビューの欄に誹謗中傷も書いてありました。



罪を裁くのは国の役割であって、国民の役割ではありません。罪を犯した人を叩きたくなる気持ちはわかりますが、そんなことをしても社会は良くならないですし、生きづらい世の中を作り出すだけです。


こういう人たちは、自分で自分の首をしめているだけだと思います。


自分が嫌いなものを嫌いだと言っているだけで何の生産性もないですし、人の人生をおもちゃのように扱っているように見えます。


一般庶民が、犯罪者に対してバッシングを行う行為は害悪でしかないです。


私は、正義は国が決めるものであって、個人が勝手に判断して良いものではないと思っています。正義感を持つのは結構ですが、その正義は個人の思想であって、他人にぶつけてよいものではありません。



少し話が変わりますが、「正義」の感情を上手く利用して、炎上マーケティングを行っている例もあります。最近でもお笑い芸人さんでありました。


私はあの件に関してとても憤りましたが、文句を言う行為=加担する行為になってしまうので、何も言えませんでした。何も言わない、反応しない、という行為があの件に対する唯一の抵抗でした。あの件は、当事者が声をあげるしか解決しないと思います。



改めて「私裁」についてですが、先程のセブンイレブンについては完全にいじめだと思います。悪いことをした人間だからといって、いじめてもいいわけではありません。


被害を受けた女子高生が得をした訳でもないですし、問題解決が早まった訳でもないです。抵抗できない相手に危害を加えているようにしか見えません。


「私裁」をなくすことは難しいと思いますが、やってはいけないことという認識が広まってほしいです。




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