「共生虫」村上龍


ツイッターでFFさんに教えてもらった本です。



中盤まで、この本は面白くないかもしれない……と思っていましたが、PHSが出てきたあたりから俄然面白くなりました。インターネットが、この本のテーマの1つになっています。





主人公のウエハラはひきこもりです。



ただ、ひきこもりにしてはアクティブすぎる気がしました。実際のひきこもりとは大きくかけ離れていると思います。



精神的な不安定さや攻撃性は、自分のイメージとも一致していましたが、行動力に関しては実像と異なると思います。



ですが、そのおかげで「最後の家族」を作ることになったようなので、私としては良かったと思います。一般的なひきこもり像を知りたい方は「最後の家族」を読まれると良いと思います。







ストーリーは、引きこもりのウエハラが、サカガミヨシコという人物に興味を持つところから始まります。



インターネットでサカガミヨシコのホームページを見つけたウエハラは、伝言ボードへ自分が引きこもりであることを書き込む。3日後にRNAというニックネームの人物から"引きこもりは罪だ"という書き込みが載る。メールアドレスが一緒に載っていたので、ウエハラはRNAにメールを送る。

"サカガミヨシコにメールを送ってもいいか"と尋ねると、"かまわないが、批判はだめだ。あと、メールはすべてチェックしている。"という返信が返ってくる。監視されているのかと怖くなったが、ウエハラはサカガミヨシコに昔体験した奇妙な出来事をメールで伝える。

すると、インターバイオという組織から返信がきて、「共生虫」という存在を知らされる……。






中盤までは正直微妙だと思いました。あんまり面白くないかなと思いました。



しかし、中盤になってPHSを手にして外出したあたりから、面白いと思うようになりました。ネタバレみたいになるかもしれませんが、インターバイオから面白いメールが入ります。ここから私の興味が一気に上昇しました。



あと、後半になればなるほどこの話は恐怖が増していきます。特に第十三章からは怖さが倍増していきます。こんなに怖い話だと思っていなかったので、ビビりました。



村上龍の特徴の、改行なしの長い文章を読むことができます。ホントに長いです。



以前読んだことのある村上龍の「コインロッカーベイビーズ」「希望の国エクソダス」でも、ここまで長い文章はなかったと思います。この話が1番長かった。








ひきこもりをテーマにした小説ですが、ひきこもりの話というよりは、孤独な青年がインターネットにハマる話だと思いました。



村上龍ファン・ホラー好きは読むと面白いと思います。ひきこもりを知りたい方は「最後の家族」を読まれると良いと思います。



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