世界「比較貧困学」入門(PHP新書)石井光太

とても読みやすくてわかりやすい本でした。



世界には2種類の貧困があります。"絶対貧困"と"相対貧困"です。


絶対貧困とは「1日2.5ドル以下の暮らし」をしていることで、世界で12億人いるとされています。


相対貧困とは「等価可処分所得(1世帯の可処分所得を世帯人数の平方根で割った数値)が全人口の中央値の半分未満の世帯員」のことで、日本では約2000万人います。日本は世界第三位の相対貧困国です。


絶対貧困と相対貧困においては、貧困の表れ方が異なっています。その2つを比較したものがこの本になります。



気になったものを適当にまとめます。

  • 途上国では都市人口におけるスラム住人の割合が高い。インド55.5%、ナイジェリア79.2%、エチオピア99.4%
  • 途上国の都市部では富裕層地域、庶民地域、貧困地域が道や川などではっきりと線引きされているが、日本では混在している。
  • フィリピンのGDPの1割は海外からの送金(出稼ぎ)
  • 「スラムに暮らす南アフリカの人間も、外国からやってきた貧しい人たちも、どちらもまともな教育を受けていないんだ。言葉も、文化も、民族も違う。だから、何かあっても膝を突き合わせて話し合って問題を解決するという選択肢が初めからないんだよ。気に入らないことがあれば、相手を追い出すという選択肢しかないから、虐殺にまで発展するような暴動が起こるんだ」
  • 貧困者たちが行っている仕事は児童労働だったり、無許可だったり、税金未納だったり、違法な転売だったりと本来は規制されるべきものが多い。だが、途上国ではいちいちそれらを取り締まると、彼らが食べていくことができなくなるため、見逃すようなかたちで公然と行われている。逆にいえば、方の体系に組み込まれていないからこそ、成り上がりが夢ではなくなるのだ。
  • 結婚によってパートナーを得ておけば、万が一事故や病気で働けなくなったときでも、パートナーの収入で転落を最低限に留めることができるだろう。結婚はもっとも信頼できるセーフティーネットなのだ。(略)家庭をもたせてしまえば狙われにくいし、許嫁を決めておけば男性のほうも小さなときから娘をしっかり守ろうとする。そして年ごろになってすぐに結婚して子どもを産めば、ますます犯罪に巻き込まれることは減るだろう。
  • 刑務所の環境も劣悪で(略)手っ取り早く暴力によって抑圧しようとするのだ。こうなれば、刑務所というより、もはや強制収容所である。





とても面白い本でした。世界と日本の貧困に興味のある方は、まずこの本を読まれるといいと思います。基本的な知識を得ることができます。オススメします。