この本が、2ちゃんのまとめサイトで、怖い小説として挙げられていたのを覚えています。なので、きっと怖いだろうと思いながら読みました。
そしたら怖かった。
グロテスクな表現が出てくるのは、主に後半の一部だけですが、最初から最後まで恐怖心のようなものがずっと付き纏っていました。
読み進めている間、なんだか怖くて、ドキドキしていました。
読み終わって、なんか怖かったなぁと思いました。表紙を見るたびに、怖さが蘇ってくるような気がします。
ストーリーは夜の性風俗のガイドをしている主人公ケンジが、アメリカ人のフランクをアテンドする、というものである。
フランクの顔は非常に平凡な顔なのだが、年齢がわからない。皮膚の感じがちょっと変わっていて人工的な感じがする。そういうことを考えていたら、殺された女子高生の新聞記事を思い出す。もしかしたら、フランクが犯人なのではないかと思いながら繁華街を案内する。
車のラジエーターの輸入のライセンス契約に来たんだ、と言っているが明らかに格好がおかしい。職業を偽っている…。血の付いた一万円札を支払いに使っている。殺された女子高生は財布からお金を奪われたと書いたあった…。
そういうことは偶然だと、自分に言い聞かせようとするが、どういうわけか疑いが消えない。
週刊誌に載っている野茂をフランクは知らなかった。日本に仕事に来るアメリカ人で、野茂のことを知らない日本人はいない。100%いない。
「そいつは、ドジャースのピッチャーでノーヒットノーランをやったんだ」と説明すると、
ついさっき、姉が2人いるといったばかりなのに、男の兄弟だけで、みんなで野球をしていたという話をはじめる…。
本を読んでいると、
フランクは本当に殺人犯なのか?
ケンジは殺されるのか?
どちらでもないにしろ、誰かが殺されるかもしれない。
いつ殺人が起きるのだろう?
とか考えるので、見えない恐怖を味わいながらストーリーを読み進めていくことになります。
ホラーやサスペンスものをあまり読んだことがないので、恐怖感を味わいながら本を読むことに、戸惑いました。
しかし、同時に高揚感がありました。映像のように自動で進んでいくものとは違って、本は自ら読み進めていかなければならないので、体験したことのない精神状態でした。
内容も面白くて、お気に入りの本になりました。
でも、やっぱり表紙コワイ