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「強いられる死」(角川学芸出版)斎藤貴男

社会のこと

この本は、自殺未遂した方や自死遺族の方をインタビューした記事をまとめたものになります。自殺について書かれた本というより、雑誌に書かれた記事を改めてまとめたものという印象でした。



本を読んでいて気づいたのは、私が"経営者が自殺する"ことに対して何も思っていないことでした。最近も自殺問題で、社長が辞任したりしていますが、社長がそのあと社会的に追い込まれるような立場になった場合、自殺する可能性はゼロではありません。


本の中では、経営に失敗して多重債務者になった挙げ句に自殺するケースが紹介されていました。

樹海に来る人はなぜか多重債務を抱えた人が多いんですよ。自分の死をどこかで美化したい気持ちが働くのかな。
 でも、きれいになんて死ねるもんじゃありません。キツネやテン、ハクビシンみたいな動物に食われるからね。

89,90p

企業経営者というのは、土壇場に追い込まれてもなお、夢とかロマンといったものを捨てきれないものなんです。破産して貧しくなったって幸福を探すことはできるじゃないかとは考えずに、だけれども家族への責任感は強いものだから、負債は自分の生命保険で返してくれ、なんて行為に出やすい。

125p

倒産する経営者の特徴は、何でも他人のせいにしがちなことです。(略)世の中のせいにしてみたところで、どうしようもないでしょう。(略)経営者としての知識も器もない人が少なくないのも現実です。そのくせ欲だけは人一倍強い、とかね。

127p


ブラック労働によって追いこまれて自殺するのはもちろん問題ですが、ブラック企業の経営者が倒産によって自殺するのも問題です。人の死は少ないほうがいいと思います。経営者であろうが、人が死ぬのはいい気分ではありません。(個人的な恨みがある場合は除きます)





少し話は変わりますが、電通の高橋まつりさんが亡くなったのは、ブラック労働が問題というよりも彼女のプライドの問題だと思います。長時間労働を無くして社長を辞任させても問題の解決になっていないと思います。


プライドをなくすのは難しいです。"無駄なプライドなんてなくせばいい"とおっしゃる方がいますが、そんな簡単なものではないです。以前読んだ本でこんなことが書いてありました。

結局、恥を捨てることができるのは、もともと恥の感覚が極端に薄い人か、莫大な借金を背負うなどしてそうせざるを得ない状況に追い込まれたケースなど、とことん追い込まれたり、落ちるところまで落ちた場合だけだ。

「ワルの知恵本」(河出書房新社)門昌央と人生の達人研究会


社会的地位を下げること(会社をやめるとか、一時的でも無職になるとか)は、簡単にできることだと思えません。一度あきらめてしまえば楽になれると思いますが、決断を下すのは楽な選択ではないはずです。


私は無職なのですが、人に「無職です」とか言えません。病院の受付で提出する職業の記入欄にも「無職」と書けませんでした。空欄で出しました。これはプライドがあるからです。"働いていないことが恥ずかしい"という意識があるからです。


ただし、ネットなら言えます。理由は、同じような人がいるからです。"受け入れてくれる人がいる"という安心感があるからです。バカにされるおそれもありますが、ネットなのでそれほど気になりません。


本の内容は、正直それほど興味のあるものではありませんでしたが、プライドは人生において重要なものであるということを、改めて考えさせられました。読んでよかったです。

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