面白かったです。
商品の説明
売れない芸人の徳永は、天才肌の先輩芸人・神谷と出会い、師と仰ぐ。神谷の伝記を書くことを乞われ、共に過ごす時間が増えるが、やがて二人は別の道を歩むことになる。
Amazonより引用
感想(微妙にネタバレあり)
私は純文学をあまり読まないので、純文学的な面白さに関してはよくわかりません。ですが、ところどころに出てくる独特な表現を面白いと感じることができました。特に始まりの文章
大地を震わす和太鼓の律動に、甲高く鋭い笛の音が重なり響いていた。
はとても美しい文章だと思いました。
この小説は、売れている芸人が芸人を描いた作品になっています。主な登場人物である徳永と神谷は2人とも芸人で、ストーリーのいたるところでボケと突っ込みを繰り広げます。売れている芸人が芸人のことを書いたから面白かったのか、又吉直樹氏の文章力がすごいから面白かったのかどうかわかりませんが、ストーリーの中にちりばめられたボケと突っ込みのやり取りはクスッとくるものも多かったです。
「会話になってもうとるやんけ」
最後は悲しい終わりだったのですが、個人的にあの終盤のストーリーは凶悪なバッドエンドだと思いました。神谷の選択した行為の意味がまったくわかりませんでした。人が亡くなるとかそういった一般的なバッドエンドとは異なる、新しいバッドエンドを見せられて、戸惑いと感動を覚えました。理解できない人間の奇妙さに、嫌悪感を抱きました。
中盤までは神谷のことを理解できる気がしていたのですが、終盤のあの行動は本当に理解できませんでした。これまで言ってきたことと逆の行動を自分で正当化していて、まったく共感できませんでした。あの終盤の行動で、神谷のことが嫌いになってしまいました。
こいつは何を考えているのだろう。