直木賞受賞した朝井リョウ「何者」がとても面白かったので感想を書きます。

私は、子供の頃全く本を読みませんでした。(ここでいう本とは文字だけの本のこと)学校で本を読む時間があったので、そのときだけ読んで、他の時間に本を読むことはほぼありませんでした。漫画は多少読んでましたけど、周りの同級生より、読んでなかったと思います。親が全く本を読まないタイプの人間なので、家に本がなく、本を読むようになったのは大人になってからでした。


「何者」は読んでみたいと思っていましたが、普段、小説をあまり読まずに新書ばかり読んでいたので、買うことはありませんでした。
ひきこもってから、徐々に小説を読むようになり、最近「何者」を読みました。


「何者」を読んで思ったのは、小説は、自分と共感できたり、感情移入できる登場人物が出てくればくるほど、面白い小説だと思える、ということです。


あまり小説を読んでこなかったので、比較する数が少ないかもしれませんが、これまで読んだ小説の中で、「何者」が圧倒的に1番面白かったです。


この小説は、大学生が就活に振り回されている様子を描いたもので、昨今流行りのSNSツイッター)が何度も出てきます。最近はSNSを使ってコミュニケーションを取る機会が増えてきているので、現代の大学生活を反映したものになっています。が、最近はツイッターよりもLINEを使う機会が増えているので、若干昔の世代を描いているという印象も受けました。


でも、SNSを用いた生活をかなり上手く描かいているなぁとも思いました。


バイトしてたり、留学してたり、バンド組んでたり、友達同士でエントリーシートの添削したり、ルームシェアで生活したり、家でお酒飲んだり…“これが現代の大学生!”とハッキリ言えます。


私も、大学生だった時期があり、登場人物達の考えていることが、なんとなくわかる気がしました。


特に77ページの


だから、俺は絶対に言ってやらない。


この一文が、私が今まで読んだ文の中で、1番心にヒットしました。(すごい性格が悪いのかもしれない)


登場人物の中で、主人公の拓人が自分に1番近いかな、と思いました。少し俯瞰気味に周りの観察をしている様子は、バンドを組んで活発な光太郎や、留学して人望のある瑞月よりも自分に近いイメージでした。理香と隆良も自分に近い印象でしたが、留学へ行くほどの行動力はないし、人と違っていることを褒めてもらいたいという感情はあまりないので、最も近いのはやっぱり拓人だなと思いました。


あと、最も尊敬の念を感じたのはギンジです。夢を追いかける姿勢は、やはり自分には真似できないなぁと思いました。



SNSを用いて大学生活を過ごした人、これから大学生活を送る人は、とても共感できて面白い小説だと思います。オススメです。