論文 ヤギは幸せな表情をしている人間を好む

Goats prefer positive human emotional facial expressions
Christian Nawroth, Natalia Albuquerque, Carine Savalli, Marie-Sophie Single, Alan G. McElligott
Published 29 August 2018.DOI: 10.1098/rsos.180491


ヤギは幸せな表情をしている人間を好む


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概要

動物の家畜化は、人間の環境によりよく適応するための、動物の行動と生理機能を形成してきた。したがって、人間の表情は、犬や馬といった、人と一緒によく働く飼いならされた動物にとって、非常に有益な情報である可能性がある。しかしながら、ヤギのような、主に製品化のために家畜化されたような他の動物に関しては、人間の表情を理解できるかどうか知られていない。この研究は、ヤギに見知らぬ人間の顔の表情(幸せな表情と、怒っている表情)の画像を同時に2枚見せて、区別できるかどうかを調べた。2つの画像は、1.3m離れたテスト場所の片方の壁に垂直に取り付け、ヤギをその壁と反対側の4.0m離れた位置から解放し、自由な探索と刺激の交流を行った。4回のテストを30秒ずつ行った。全体的に、ヤギは最初に幸せな表情と好んで交流した、これはつまり、ヤギは人間の表情に敏感であるということである。右側に幸せな表情が取り付けてあるとき、ヤギは初めに幸せな表情と長い間頻繁に交流した。しかし、左側に幸せな表情が取り付けてあるときは、その傾向はみられなかった。私たちは、生産用の家畜が、異なる感情価の人間の表情を区別し、幸せな表情を好むことを見せた。したがって、家畜化された動物の認知能力の影響は、前提とされているものよりも大きい可能性がある。


結論

私たちは、ヤギが人間の表情を区別することを初めて示した。ヤギは表情を区別できるだけでなく、ヤギの性別や人間の性別に関係なく、一般的に幸せな表情を好む。これらが示唆しているのは、動物が人間の表情を区別する能力は、仲間の家畜化の長い歴史とは無制限に、以前から信じられていたものより広範囲に広がっている可能性がある。