「ニートがひらく幸福社会ニッポン」(明石書店)二神能基


面白かったです。


著者は、ニュースタート事務局というニート支援のNPO法人の代表です。この本は活動の中で出会ってきた若者の姿をまとめたものです。


まとめと感想

 上昇志向も物欲もないニートこそが、21世紀に順応した進化した価値観を持っている。ニート問題と思っていたものは、資本主義の発展の必然から生まれた進化系の現象である。21世紀の社会を20世紀の価値観で生きていこうとすれば、壁にぶつかるのは当たり前だ。問題なのは、経済的上昇にこだわり若者の現状を「やる気がないダメな奴」と考える、わたしたちの世代の方なのだ。

41p


物欲がないというか、お金がないのだと思います。あと、「企業の宣伝に促されて無駄な物を買う人」が減ったからだと思います。


私も物欲がないと家族からよく言われていました。親にコレを買ってほしいと頼んだのは小学2年生以降ないです。でも、それは物欲がないのではなく、お金がないのに物をねだってはいけないという考えがあったからで、物欲がなかったからではないです。欲しいゲームはたくさんありました。


上昇志向がないのは、努力しても上昇できないからでは?努力が報われる場があれば努力すると思います。


そういう場でも努力しない人は、もともとそういう気質なのだと思います。昔から仕事で手を抜く人はいたのではないでしょうか。


そういう人が堂々と生きていける社会に変わったのだと思います。



 若者自身も、父親のような働き方に違和感を持っていても、代わりに目指すモデルも見あたらず、自分の気持ちを整理しきれないでいる。時には父のようになれない自分が悪いのではと考えてしまう。そこに時代の流れからくる価値観の根元的な変化があるとは、気付いていない。そのゆらぎが子供の幼さに見えて、余計に親は自分の意見を押しつけようとしてしまう。

68p

「自立なんかする必要はない」

「他人ともたれ合っていきろ」

「人生に目的なんか必要ない。ただの人として楽しく生きろ」

180p


この3つの言葉にすべてがこめられている気がしました。



本のはじめに古市憲寿氏のことに触れていましたが、古市さんはニートではないし、大学院に所属しながら働いているし、それなりに金持ちなので、ニートの話をするときに古市さんの話を出すのはしっくりきませんでした。古市さんは同年代の代表ではあると思いますけど、ニートの代表ではないです。



本の中には、元ひきこもりの方の話もいくつか出てきました。とても参考になりました。ありがとうございます。


とても面白かったので、著者の別の本も読んでみようと思いました。


最後に


ニートはこの本を絶対読むべき