「ランドセル俳人の五・七・五」小林凛

この本が出版されたのは、2013年4月18日です。著者の小林凜(本名は小林凜太郎)氏は当時小学6年生の11歳です。



著者は2001年の5月に944グラムの超低体重児で生まれました。小児科・眼科・脳外科へ通院し、年に1回はMRIの検査を受け、何度も入院しているそうです。






そんな著者は小学校入学時からいじめを受けます。






教室に入れてもらえない、入れてもらえたところで、寄ってたかって、小突き回され、床を這いながら近づいてきた男子に足を引っ掻かれ、腕を雑巾で絞るように後ろからねじ上げられる。



入学して一週間目で、突然後ろから突き飛ばされて左顔面を強打し、目が開けられないほどの腫瘍ができる。それからしばらく経ち、教室で突き飛ばされて椅子の角に腰を打ちつけられて、横腹に大きく真っ青な皮下出血をつくる。



著者は"水頭症の疑いがあるので頭部の打撲には注意すること、命取りになる"と医者から言われており、いじめを受けるのはとても危険なことであった。



危険な目に合わせるわけにはいかないという母親の考えから、小学2年生の秋に「自主休学」という選択をする。



それから著者は毎朝、祖母に連れられて公園や野原を愛犬を連れて散歩するようになる。



草むらの虫に目を凝らし、飛び交う蜻蛉を追い、朝露を踏みながら団栗の落ちる音を聞く。著者は感性のままそれを五七五の句にした。それを祖母が携帯メールに打ち込み、夕食後に書字練習を兼ねて、清書した。



2年生の3学期から登校を再開し、3年生に進級したが、いじめはなくならなかった。そんなとき、著者の考えた俳句が朝日新聞の「朝日俳壇」に入選する。






"紅葉で 神が染めたる 天地かな"






ここから、著者の俳句の才能を周りが認めてくれるようになる。



学校で俳句ができそうな場面になると、先生が著者に「ハイ、一句!」と声をかけ、口にした俳句を連絡帳に書き留めてくれるようになった。



その後、翌年の2月、6月、7月に2回、合計4回も入選を重ねた。



ただし、いじめはなくならず、結局不登校になる。現在は朝昼家で勉強しながら、夕方は公園などに行き俳句を読んでいるという。












著者は強いです。体が強くないのにいじめられても負けずに立ち向かおうとしたり、いじめられている子を救おうとしたり、本当に強いと思います。



俳句もとても面白く、楽しく読ませてもらいました。




あと、これは悪い意味ではないですけれど、子を持つ母親はヒステリックになりやすいのかな、とも思いました。それが普通なのだろうと思います。





いじめに負けない強い少年の本でした。



"いじめられ 行きたし行けぬ 春の雨"


「ランドセル俳人の五・七・五」(ブックマン社)小林凛

ランドセル俳人の五・七・五 いじめられ行きたし行けぬ春の雨--11歳、不登校の少年。生きる希望は俳句を詠むこと。

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