Amazonのレビューで「性描写が多い」と書かれていますが、私もそう思いました。純文学に慣れていないからかもしれませんが、性描写の多さに少し戸惑いました。
本は面白かったです。
楢崎透は立花涼子を探すため、松尾正太郎を教祖とする宗教団体へと足を踏み入れる。しかし、立花涼子はそこにはいない。立花涼子は沢渡という人物が教祖をしている「教団X」にいるらしい……。
序盤に、松尾の話を聞く場面があるのですが、この内容がかなり難しいです。教祖の奇妙な話は、仏教・脳科学・宇宙・素粒子・量子力学・戦争・グノーシス主義……などが入り混じっていて、理解できません。(完全に理解する必要はないかもしれませんが)
この教祖の話が複雑で長いので、途中で挫折してしまう人も多いかもしれません。正直、私は半分流しながら読みました。多少知っている知識もありましたが、理解するのはなかなか難しいです。
あと、教団Xなのですが、この宗教団体はセックスを大量にします。
とにかくセックスします。
教祖も信者もセックスします。
この教団Xの性描写の多さで、嫌煙してしまう人も多いのかもしれません。私もこれでかなり戸惑いました。こんなにやりまくるのか……という印象でした。
しかし、この欲望がストーリーの中で大きな影響を与えているはずなので、カットした方がいいとか、もっと短くした方がいいとかは思いません。性描写の量はこれでいいと思います。
性に飢えている中学生は、これを官能小説的に用いることが可能だと思います。それくらいたくさん出てきます。
私が1番印象に残ったのは429ページの
自分の脳裏の隅には小牧が存在し続けている。"いいの?ここで続けないと、もう私を二度と抱けないよ?"その小牧の言葉を恐ろしく感じている。また抱きたいと思っている。どうして自分はこうなのだ?なぜ自分の身体は?
の部分です。
なぜこの部分が印象に残ったのか自分でもよくわかりませんが、読み終えてしばらく経った今でも、ここだけ覚えています。性欲に溺れそうになっている男のサガに何か響くものがあったのかもしれません。
この本は、分量が567ページと非常に多くて、難解な教祖の話もあって、大量の性描写があって、戦争の演説があって、非常に読みにくいです。
読み終わって、スッキリするような話でもないと思います。文学っぽい雰囲気です。
人を選ぶ本だと思いますので、文学初心者は読まない方が賢明だと思います。文学に挑戦してみたい方にオススメです。
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