これは、3.11以降の原発は絶対悪という世論に反論するために書かれた本です。テレビや一部の新聞社による、無闇に煽ったり、人々を怖がらせるといった、感情的な議論を不毛だと感じ、冷静に科学的に考えるためにこの本はつくられています。
まとめると
発電量当たりの死亡者数で比較すると、原子力は1番犠牲者が少ない。
火力発電は大気汚染によって多くの人を死亡させる(日本では3〜5万人)
火力発電からも放射性廃棄物はでる。
経済と命はトレードオフではない。お金持ちの国ほど国民は健康で、お金持ちの人ほど健康で長生き。「原子力は命を犠牲にして経済を優先させる技術」というのは事実誤認。
命に関しては化石燃料の方が危険。経済性は原子力と火力はいい勝負。
エネルギーのポートフォリオを分散させないで、原子力のオプションを放棄することは、愚かな選択。
原発を止めると、電気を生まない原発の維持費を払いながら、その分の電気を確保するために莫大な化石燃料を追加購入するため、非常に大きな経済損失が発生する。
アフリカのウラン鉱などに、天然の原子炉の形跡が発見されている。
昔は核燃料廃棄物は海洋投棄されていた。これは大きな問題に感じるが、海は非常に大きく、すでに莫大な量の放射性物質がもともと溶けている。現在は、ロンドン条約で禁止されているが、将来のオプションとしては残していいと思う。
太陽光などの自然エネルギーはコストが高いので、国民を支える基幹エネルギーにはなりえない。
この本が出版されたのは2012年です。当時は今よりも反原発の運動が強かったと思います。その中でこの本を出版するのは意義のあることだったと思います。
火力発電の、大気汚染による死者の発生については勉強になりました。あと、火力発電から放射性廃棄物が出ることも初めて知りました。知れて良かったです。
↓石炭火力発電に難問出現? 燃やした灰から強い放射能
http://www.j-cast.com/2015/09/29246387.html?p=all
ただ、本の内容に関して批判的な意見もあるのでしっかりと見極める必要がありそうです。↓
『「反原発」の不都合な真実』への疑問
http://d.hatena.ne.jp/kenjiro-t/touch/20120329/1333030011
「反原発」の不都合な真実(藤沢数希)の、さらに不都合な真実
http://s.ameblo.jp/ohjing/entry-11551396435.html
2016年11月現在、稼働している原発は、川内原発1号機2号機、伊方原発3号機の3基です。
ちなみに、川内原発で検索すると4番目に
RAPT | 再稼働した鹿児島県の「川内原発」は、日本で最も危険な原発です。
伊方原発で検索すると7番目に
再稼働した伊方原発は日本で一番危険な原発だ! 安全審査をした原子力規制委の ...
という検索結果が出てきます。どうやら、両原発とも日本で1番危険な原発だそうです。他の原発も検索してみましたが、日本で1番危険な原発という検索結果は出ませんでした。(1ページ目を調べたかぎりでは)
政府は日本で1番危険な原発である3基をわざわざ選んで再稼働させたのでしょうか。
どうなんでしょうね。
「反原発」の不都合な真実(新潮新書)【電子書籍】[ 藤沢数希 ]
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