まともな心理学の本「性格のパワー」村上宣寛 のまとめと感想

この本は、認知心理学の研究者である著者が執筆当時(2011年)の最先端の心理学研究の結果をまとめたものである。



ー人の性格に関する本は主観的、非科学的なものが多い。これは真実を記述した本が売れずに、利益を生む本が流通するためである。この本は、可能な限り真実を記述し、現代心理学の到達点の一つを示したつもりである。ー


本の帯には

幸福感は健康や所得とはほとんど関係がなく、かなりの部分が遺伝で決まってしまう

協調性は職業上の成功にとってマイナス要因

親の養育態度は子どもの性格形成にほぼ無関係


と書いてある。この時点でかなり興味をそそられる。



気になった内容をまとめると

パーソナリティ=性格 キャラクタ=人格 と訳語をあてるのが本来はふさわしいが、明治時代から現在に至るまで逆さまに訳されていて混乱が生じている。


数百年にわたって性格研究は、哲学や文学であったが、ビッグ・ファイブ(五因子モデル)によって、ようやく科学的研究が行えるようになった。


愛情をこめて抱きしめると優しい子どもになる、体罰を加えると攻撃的な子どもになるなどはすべて間違いで、親の養育態度は少なくとも性格形成にはほとんど影響がない。


知的好奇心の高い両親は、子どもを否定的にしかったりしない。


情緒不安定な父親は子どもをほめて育てるが、外交的な父親は子どもをしかりつける。


ビッグ・ファイブの性格特性の遺伝率は50%前後である。


年齢が高くなるほど知能の遺伝率はあがる。(5歳では22%、18歳では82%、50歳では85%)


統合失調症は80%遺伝する。


アルコール依存症は50〜60%遺伝する。


性格はおよそ50%遺伝する。


興味は30〜40%遺伝する。


自尊心の高い人は、自分の対人的能力を過大評価している。ただ、新たな友人関係をつくる能力だけはやや高い。


自尊心の低い少年はいじめられる傾向にある。


自尊心の高い少年はいじめる傾向といじめと戦う傾向の両方が混在している。


情緒が安定していて外交的な人は自尊心が高い。


性別、年齢、国籍、民族性、社会階層の違いが自尊心に及ぼす影響は1%以内。


自尊心と性格の共通性はかなり大きい。「自尊心を育てる教育」は「外交的で情緒が安定した子どもを育てる教育」であるが、性格特性の遺伝が50%前後に上るため、この教育の成功確率は低い。


自尊心を高めれば、犯罪、10代の妊娠、薬物乱用、学力不振が回避できるというのは単なる期待であり、根拠がない。


幸福な人が結婚するのか、結婚するから幸福なのか分からないが、既婚者は非婚者より幸福である。


幸福感は遺伝的要因が強いが、人生のパートナーを見つけ、仕事や余暇活動などに積極的に関われば、改善可能であると考えられる。





とても有意義な本でした。


エセ心理学ではなく、科学的な証拠に基づいて書かれていて信頼できると思いました。


特に、幸福感は遺伝的なものである、というのはとても参考になりました。私は生きていて幸福感をほぼ味わったことがないので、なぜなのだろうと思っていましたが、納得しました。


なんだか、精神的な安定を少し手に入れた気がします。ありがとうございます。




本では他にも、血液型人間学などの疑似科学がなぜ広まるのか、ビッグ・ファイブによる性格診断、幸福感や自尊心についての詳しい解説が書いてあります。


とてもためになる本でした。読んで損はしないと思います。オススメします。



「性格のパワー」(日経BP社)村上宣寛

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