著者は、15年以上ひきこもりの調査をしているジャーナリストで、「ダイヤモンド・オンライン」で「引きこもりするオトナたち」という連載をされています。
この本は、ひきこもり当事者のことが多く書いてあります。15年以上取材されているので、出会ってきた人も多いのでしょう。とても参考になります。
子どもがひきこもりになった家庭では、台所の包丁を隠すことをよくするらしいです。家庭内で殺傷能力のある凶器を置いておくと、振り回されたりして危ないから、らしいです。(ちなみに、私は暴れるタイプではありませんので、包丁を隠されたことはありません)
実際に、人生の約半分をひきこもりとして過ごしていた男性が「インターネットを解約され、腹がたった」という理由で、家庭内で5人殺傷する事件が起きている。(愛知県豊川市)
ひきこもりを減らすことは、殺人を減らすことにもつながる。この理論が社会に伝われば、ひきこもり支援の動きはもう少し活発になるのではないでしょうか。
私の考えでは、ひきこもりは弱者です。
弱者は、社会に対して反発しやすいです。
甘えるな、働け。とか、休まないで学校へ行け。というのは、弱者に対して社会に対する反発を強めるだけだと思っています。
反発が強くなれば、何をするか分かりません。最悪の場合は、殺人を犯します。これは、社会が知っておくべき事実だと思います。
反発を弱めるには、存在を肯定することが必要だと思っています。まず、ひきこもりという存在を認めて、どういう支援をすれば良いのかを考える。
働かない人がいることは、社会にとってマイナスです。税金を消費するだけで、納税をしてくれません。
ひきこもりから脱却して、多少なりとも労働をしてくれれば、社会にとって有益な存在になります。
弱者に対して、上から命令したり、尻を叩くような行為は逆効果です。寄り添って、何が問題なのかを一緒に探し出して、解決する。これがひきこもりを解消して、社会にとって有益な存在にする方法だと思います。(これは、ひきこもりだけでなくニートとか、弱者の人々全員に言えると思います。)
本で気になった箇所をまとめると
近所の人に自分の姿が見られると家族にも迷惑がかかってしまう、という思いから、家から一歩も外に出ることができなくなってしまった。
ひきこもりが長期化すると、精神疾患の発症リスクが高くなる。
自分の話を受け入れてくれる、承認してくれる人がいるだけで自信につながる。
ひきこもりは「不登校の延長」と「職場から離脱して復帰できなくなった」の2つのパターンにわかれる。
ひきこもりは、まじめな話はできるのに世間話ができない。
一生懸命仕事していた人ほど自尊心が強くて、生活保護(二等市民扱い)の申請に行けない。
和歌山大学の「ひきこもり回復支援プログラム」で84%が半年以内に外出できるようになった。
私は今、ひきこもり当事者です。
これから社会に復帰できるかどうかは分かりません。
病院に月一で通っていますが、それ以外は基本的に外出しません。
作業所に通えるのか、通えないのか、という現状です。
ひきこもりの方が、救われる社会になることを願っています。