「10年後、生き残る理系の条件」竹内健 のまとめと感想

この本は、竹内健氏(中央大学教授 半導体メモリ・SSD・コンピュータシステム)の、エンジニア個人がどのように生き残っていくかを書いた本である。


気になった内容をまとめると、


世界で見ると半導体は成長産業である。
製造業では、人件費の高い日本はアジアの国々には勝てないというが、半導体に関しては違う。半導体の製造のほとんどが自動化されているので、(日本人のエンジニアの給料は世界的に見ても安いほうなので)日本で開発することはコスト増にはならない。


著者が大学院を卒業した20年ほど前、東芝に入社し、終身雇用で雇われ続けると思っていたが、同期入社の仲間を見ると3分の1しか残ってない。


ソーシャルメディアで不特定多数にアウトプットをして、異分野の人に興味を持ってもらって、交流をするべき。


同調圧力にとらわれないで、組織の中でも外でも、身近で頑張っている人たちを応援しよう。リスクを取って先陣を切って頑張っている人は、みんなに新しいパイを運ぶ可能性を秘めている。


新たに挑戦したい分野の先駆者などに、広く聞いてまわる。やると決めたら周りに宣言する。チャンスが来たら、全力でやり遂げる。


歴史と伝統のある大企業ほど、マネジメント、人材育成、モチベーションの与え方が、真空状態(タブー)になっている。


フラッシュメモリなどできっこない」と言っていた方々が、事業が成功した後「自分こそが立役者」と言っていたのには呆れた。




最後のような人達は、どこにでもいるんですね。年を取ると、恥ずかしさとかなくなっていくのでしょうか。それとも、元々そういう人なのでしょうか。先見の明がなかったことを自分の中から忘れてしまいたい、とか? こういう人とは一緒に働きたくないですね。(と、働いていない人間が申しております)



本を読んだ感想としては、著者の経験を多少踏まえながらの自己啓発本だな、という印象でした。


序盤の半導体産業に関する内容は面白かったです。著者の専門知識や経験が織り交ぜてあって、興味深かったです。スタンフォードMBAを取りに行ったとき、「バナナ」という悪口を聞いたとか。


中盤あたりから、自己啓発の内容が濃くなっていき、私のあまり好きではない内容になっていきました。


最後の城繁幸氏との対談は、現代の雇用問題について話していて面白かったです。平均年齢の低い企業だったから復活できた話とか。


エンジニアとして働く予定の方は、読んで損はしない本だと思いました。それ以外の職業の方は、そこまで読む必要はないかもしれません。