この本は2000年に発売され、260万部を超えるミリオンセラーとなった本だ。著者の大平光代氏の人生が想像もつかないような波瀾万丈で、多くの人の注目の的になった。
内容は、著者の中学時代から、弁護士になるまでを書いたノンフィクションである。多くの弁護士は、幼い頃から成績優秀で、進学校へ通い、難関大学の法学部へ通い、司法試験を受けて弁護士になっているだろう。
しかし、著者は、登校拒否、自殺未遂、非行、暴力団組長の妻を経て、弁護士になっている。フィクションのように聞こえるが、ノンフィクションである。
いったいどんな流れでこんな人生を歩むことになったのか、その答えは本に書いてある。
ストーリーは、中学校を転校する場面から始まる。転校先の学校で、番長格の同級生に睨まれたのをきっかけに、いじめを受けるようになる。友達からハブられ、机に落書きされ、筆記用具をゴミ箱に捨てられ、トイレで頭から水をかけられ…
読んでいて本当に可哀想になる。誰か助けてくれる人はいなかったのだろうかと心苦しくなる。どの世界にもいじめはあって、なくならないものだとは思うが、助けてくれる人や理解して寄り添ってくれる人がいるだけで、いじめを受けている本人の辛さは多少なりとも和らぐはずである。読んでいる印象では、中学生の大平光代氏を、本気で助けてくれる人はいなかった。同級生、親、先生の誰もが、本気で考えてくれなかった。それ故に、孤独になり、非行の道へと進んでしまったように思う。
しかし、紆余曲折を経て、彼女は弁護士になる。これは、本気で大平光代氏のことを考えてくれる人間(大平浩三郎氏)と出会えたからだと思う。信頼できる大人がいなければ、一生這い上がることはできなかっただろう。人間関係は何にも増して重要なのだと思う。
大平光代氏は、司法試験を一発合格しているが、これは本人の努力によるものと、周りの人間からのサポート、両方の力によって達成されたものに見える。
私も、何かに成功したり失敗したりすることがある。
これは全て、自分の実力からくるものだと勘違いしてしまうが、本当はいろんな人の影響を受けていて、自分の力だけで起こった結果ではない。
成功も失敗もひとりよがりに考えず、他人との関係が少なからず影響していることを、この本を通じて感じた。
成功したことを喜んで周りへの感謝の気持ちを忘れてしまうことも良くないし、失敗したことを悔んで自分のせいにしすぎてしまうのも良くない。
自分という人間が、自分一人ではできていないことを改めて感じました。
- 作者: 大平光代
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2000/02/21
- メディア: 単行本
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