「理系の子」J.ダットンを読んだ感想

堀江貴文氏の「ネットがつながらなかったので仕方なく本を1000冊読んで考えた そしたら意外に役立った」でオススメ本として紹介されていたので、読みました。ちなみに書評サイトHONZでもベスト1として選出されているらしい。


中身は、サイエンス・フェアに参加している、少年少女を取材したものである。この大会は、科学のオリンピックと呼ばれており、世界中から優れた研究を行う10代が集まって、研究成果を競う。


本書では11名(+日本人1名)の研究と研究生活を紹介しており、どの人物も個性的で面白い。


初めに、科学オリンピックに集まる10代、と聞けば、小さい頃から科学オタクで、変わり者で、コミュニケーション力の低そうな人物像をイメージしてしまうが、実際は違う。


突然ハンセン病にかかってしまった陽気でかわいらしいエリザベス、貧困地区でガラクタからヒーターを作り上げたギャレット、女優志望で科学嫌いのイライザ、自閉症の才能を開花させたケイラ、学校へ通わずに巨額の賞金を手にしたフィリップなど十人十色だ。


研究内容も、核融合PTSD治療、ミツバチ、カーボンナノチューブなどバリエーションに富んだ、素晴らしいものばかりだ。


そして、驚くべきことに、これらの研究は、何年間も科学者の頭を悩ませていた問題を解決に導いている。


本当に高校生なのかと思わせるような、頭脳と行動力だ。



この本を読んで、想像を超えるような10代の若者がたくさんいることに驚きました。特に印象に残ったのがギャレットで、貧しい生活をしている中から、問題を見つけ出し、解決策を考えて、実行に移す姿勢は、本当に尊敬しました。


ギャレットの話を簡単に書くと、


ギャレットの住む地区の世帯の半数以上が、生活必需品をギリギリ買える収入を下回っており、彼の家も完全な貧困だった。住居は穴だらけのトレーラーハウスで、暖房器具である石炭ストーブは燃料費が高く妹の喘息の原因でもあった。

ギャレットは都会へ行きたいという思いから、サイエンス・フェアへの参加を決意する。石炭を使わずに家を温める方法を探すため、何日も教室のコンピュータを使って悩み、太陽の光を利用できないかと考える。

ギャレットの住むピニョンの住民は、レッカー車を呼ぶ金もないので、荒野に修理不能な車が点在している。ギャレットは車からラジエーターを取り出して、太陽で温めることを思いつく。

理論は正しく、ギャレットは太陽の光でお湯を作る装置を開発する。これでギャレットはアリゾナ・アメリカ・インディアン科学工学フェアで優勝する。

その後、改良を重ねて、水だけでなく空気を温める装置にグレードアップさせ、ディスカバー・チャンネル・ヤング・サイエンティスト・チャレンジで7位になる。残念ながら1位にはなれなかったが、住み込みで高校に通わせてくれる夫婦と出会い、人生が変わる。


この本の中でギャレットの話が1番好きです。


他にも面白い話ばかりなので、是非読んでもらいたいです。大人が読んでも子どもが読んでも楽しめる作品だと思いました。