「闇経済の怪物たち」溝口敦 をよんだ感想

この本は9名のグレービジネスで儲ける人にインタビューした本である。


本によると、グレービジネスとは、胸を張って人に言える仕事ではないが、完全に違法とも言えない商売のことで、言い換えると隙間産業である。らしい。


読んでいる限り、確かに完全な違法とは言い難いビジネスであると、思いました。(逮捕者もいるけどね)


性産業、ギャンブル、裏サイトなどなど、表の社会で生きているとは言えない生活を送っている方々のことが分かる本でした。


個人的に1番印象に残ったのが、危険ドラッグの帝王K氏だ。


ー世間にはぼくみたいに酒もタバコもダメという人間がいる。危険ドラッグがそういう人の慰謝になった面もあるー


このコメントが心に残りました。


私もお酒は弱くて殆ど飲めませんし、タバコも吸いません。体内に取り込むことのできる(合法な)飲食物で、ストレスを解消して、テンションを上げて、コミュニケーションをとり易くするものは、あまりないように感じます。お酒もタバコもダメな人が、代わりに危険ドラッグで疲れを癒やしていた、というのは理屈としては納得できるものだと思いました。


しかし、危険ドラッグによって死者が出ましたし、今は完全な違法物になっているので、良い物であるとは全く思いません。


ただ、お酒もタバコもダメな人は、代わりになる嗜好品がないように思います。


例えば、大麻マリファナ)はアメリカの州の一部、オランダ、ウルグアイなどでは合法です。日本も昔は合法でしたが、第2次世界大戦後GHQによって違法になったそうです。これは、大麻がダウン系の薬物で、気分を落ち着かせるためのものだったから、とか、アメリカの麻の産業を守るためだったから、とか、なんやらかんやらあるそうですが、嗜好品の中でそれほど危険なものではないようです。


世界的には大麻は合法化する流れだそうで、日本でもそういう活動はあるそうです。合法化することによって、価格が下がり、裏稼業の方々の介入がなくなり、未成年の購入も抑止できる。


過剰摂取の危険や、薬品産業への影響もあるので、メリットだけではないようですが、今の日本のような、厳しい罰則を与える法律は、必要なさそうに思います。


大麻を合法化するのはアリかなと思いました。(私は合法化してもたぶん吸わないと思うけど)




本書は他にも、デリヘルを営む梅本健治氏を取材している。梅本氏は高校生のときからパチスロで稼ぎ、高校中退後パチスロで月60〜70万円を稼ぐプロになる。30歳になり、貯金800万円を元手にデリヘルを開業する。事業は軌道に乗り、4年で6店舗、利益は年間2億円を超すまでに成長する。一度税務署のガサ入れが入ったものの、お土産なしだった。


現在は、デリヘル、飲食店、芸能プロダクション、太陽光発電など多くの事業を手がけている。優秀な経営者なのだろう。私は、デリヘルに対して嫌なイメージはないので、グレーではなく真っ当にビジネスを行っている普通の経営者だと感じました。




本では他にも、7名のビジネスマンの記事が載っている。


普段は垣間見ることのできないビジネスの世界を見ることのできる面白い本でした。