「知能はどこから生まれるのか? 」大須賀 公一 を読んだ感想

大阪大学の先生をしている著者が「知能とはどういうものか?」という疑問について答えた本です。

この本は「環境こそが知能の源泉である」という主張について書かれています。それがこの本の内容の全てです。

ただし「本書で述べている知能はあくまでも源泉であり知能全体ではない」とも言っています。

つまりこの本は「知能の源泉は環境である」と言っているだけの本です。それ以上でもそれ以下でもありません。






本には、著者のこれまでの研究や、携わってきたプロジェクト、作ってきたロボット、制御工学の基本などが書かれています。「知能の源泉は環境である」という主張を裏付けるための補足的な説明をひたすらしています。


「知能を感じる条件は、適度な予測不可能性である」
「知能があるから知能を感じる」のではなく「知能を感じるから知能の存在を確信する」


などの様々な主張を統合した結果「知能の源泉は環境である」という結論を導いています。





本を読んだ感想は、なんかざっくりしているというかふわっとした内容の本だなぁ・・・でした。

著者も本の中で

今回私がたどり着いた結論「知能の源泉は環境にある」は、非常にシンプルで「はい?たったそれだけですか?」というようなものであるが~

と語っています。書いた本人もあっさりした結論になっていると思っているようです。

ただし

これまで行ってきた研究はすべてこの結論を出すための準備だったと実感する

とも述べているので、著者としてはこの結論は長い年月をかけた研究の集大成でとても満足しているようです。


長い年月をかけた結論としてはとてもあっさりしていますが、私は内容としては納得できました。長い年月をかけて導き出した結論が複雑なものであるとは限りませんからね。

著者の研究に関しての失敗談や成功談は読んでいて興味深く面白かったです。

ただ、読む価値のある本かと聞かれるとちょっと微妙かな・・・と思いました。結論があまりにもシンプル過ぎて特徴がなさすぎる気がしました。研究のこまごました話もあまり詳細に書かれておらず、さらっと触れる程度のものが多かったので、深い話が読みたい私には消化不良でした。

つまらなかった訳ではないですが、期待していたほど面白い内容ではなかったです。本のタイトルが壮大な割には小さくまとまった内容でした。ちょっと残念です。

まあまあな本でした。




フリーランスで行こう! 会社に頼らない、新しい「働き方」 書評


インプレス株主優待で手に入れて読みました。


著者はフリーランスで活躍されているイラストレーターで、これまでどのようにフリーランスとして独立して生活ができるようになったかを、マンガで描いた内容になっています。


内容はとても面白かったです。


著者の人生がコミカルに描かれていて、主人公に感情移入しながら進めていける冒険RPGのようなハラハラドキドキ感を味わえました。


ストーリーは、著者が給料が低くて仕事のモチベーションも低い会社に不満を抱くところから始まります。そこからフリーランスへのあこがれを抱き、尊敬するフリーランスの先輩にアポなしで会いに行きます。(アポも取らないでいきなり飛行機を手配して直接会いに行くのはとんでもなく行動力があってすごいなと思う反面、突然こんな人が自宅に押し掛けてきたらすごい迷惑だろうな・・・とも思いました。)


アポなしで会いに行った相手(初対面)と2時間後には温泉に入りお茶を酌み交わし、その勢いのまま会社を退職します。(これもすごい行動力があるなと思う反面、そんなんで大丈夫なのか・・・?と不安になりました。)


案の定仕事が来ず、著者は仕事のスタイルを変えることになります。


ここで強調されているのが「営業の大切さ」です。


フリーランスになったら営業はとても重要で「仕事は来ないときは営業をしなさい」と著者は本の中で言っています。


「直接のアポや持ち込みは迷惑」と考えて営業をためらうケースが多いですが、多くの編集者やデザイン事務所等のクライアントに聞いてみると「基本的にはイラストレーターに限らず業務提携可能なフリーランサーの営業は歓迎している」という回答がほとんどです。


本の中で著者は、自分の絵柄に合うような雑誌を書店で探して、その連絡先をメモしてひたすらアポを取っていたようですが、最近はネットがあるので、ネット上でアポを取りつける形のものも多いのではないかと思います。


その後営業がうまくいき、著者は会社員時代よりも高い給料を得られるようになります。すごいサクセスストーリーですね!


その後も様々な失敗や経験を経て、フリーランスとして生活していくのですが、そのストーリーもとても面白く、参考になることもあったり、登場人物にむかつくこともあったり、著者の失敗体験にこちらも落ち込んでしまったり、、、読んでいて感情移入しやすい作品になっていました。


フリーランスとして独立したいと思っている方は、読んでいて参考になることが多い内容になっていますし、フリーランスとは関係ない方でも読んでいて楽しめる内容になっていると思いました。勉強にもなるし楽しめるし、一石二鳥の本でした。


文章が少なめのマンガで、読みやすく面白い本でした。読んでよかったです。



心をえぐるマンガ 専門学校JK

なんだかやる気が出ない…後でやろう…ギリギリまでゲームしよう…


こんな考えになることが誰しもあるだろう。ただ、こんなことばかりしていては、まったく成長しないダメ人間になってしまう。


専門学校JKは、そんなダメ人間をかわいいキャラクターで描いたマンガだ。



著者が代々木アニメーション学院(代アニ)に通っていた経験をもとにその内情を描いているのだが、これがとてもえぐい。


代アニに通う専門学校生のどうしようもない部分を、こちらが恥ずかしくなるくらいさらけ出している。



今日から頑張ると言って何もしない

毎日絵を描くという目標を立てて描かない

入学してすぐに夢をあきらめる






代アニは、声優タレント科、アニメーター科、イラスト科、マンガ科など多数のコースがあり、高校卒業資格を得られる高等部もある。このマンガのストーリーは、主人公の大宮はるこが高等部のイラスト科に入学するところから始まる。

入学の日に「今日から毎日絵を描くぞー!」という誓いを立てる。しかし、描かない。声高らかに宣言したのに、書かない。典型的なダメ人間である。「どうしたら絵で人に感動を与えられるのかを考えてたから描かなかった。」と言い出す始末。どうしようもない。

しかしこれは主人公だけでなく、代アニに通う学生の多くに当てはまるらしい。

「今日から頑張るぞー!」と言って、ゲームで遊ぶ。声優を目指すために代アニに入ったものの、なんか違う…と思って入学後すぐに転科する。転科したあとも、 なんか違う…と思って転科を繰り返す。さらに、なんか違う…と思って転科を繰り返し続けて、目的を見失う。全員ではないものの、一定数いるらしい。

さらに


夢や目標もなくフワッと代アニに入学する


者もいるらしく、何のために専門学校へ通っているのか意味が分からない。完全にモラトリアム期間を引き延ばしたいだけである。

さらに


実力が低すぎる学生は現実を知るレベルにさえたどりつけないので自信に満ちあふれている



これはもはやどしようもない。治療の余地もない。教育の失敗である。



だが、このような人を見てみなさんはどう思うだろうか。わが身を振り返ってみると、同じような考えをしていることはないだろうか。誰しも楽して生きて行きたいし、嫌なことからは逃げたい。頑張ろうと思っても頑張らずに、現実逃避ばかりしてしまうことはないだろうか。

他人のことを笑っていたら、気が付けば自分の心がえぐられている。専門学校JKはそんなマンガである。


単純な読み物として楽しむのもよし、専門学校の内情を調べるために読むのもよし、自らを戒めるために読むのもよし、、、

とても面白いマンガでした。



おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密 書評

インプレス株主優待で手に入れて読みました。

内容は、中学生が放課後のクラブ活動でお金の話を学ぶというもので、会話形式で話が進んでいきます。中学生向けにお金にまつわる解説する本でしたが、ところどころ小説のような描写もありました。

いちおう起承転結のストーリーがあり、読んでいても飽きさせない工夫がされているなと感じました。

ただ、内容がかなり易しめ(中学生向け?)に作られているので、中盤で飽きてしまいそうになりました。後半の親子のストーリーはなかなか面白かったですが、それ以外はあまり盛り上がるところがなく、全体としては冗長な本だと思いました。。。


細かいお金の話については、考えさせられるようなところもあり、満足できる内容でした。ただ、繰り返しますが、内容が易しめなので、薄い内容の本を読んでいるなとも感じました。

あと、主人公が中学生なのですが、ちょっと賢すぎるのではないかと思うような場面がありました。(元々は小学生の主人公だったらしいですが・・・)理解力がありすぎると言うか、応用力や行動力がかなりあるので、現実の中学生とは少しかけ離れている印象でした。ピケティの不等式が出てきたときに、その概念をすぐに理解していたので、さすがに普通の中学生ではそこまで理解できないだろうと思いました。まあ創作なので仕方ないと言われればそれまでですが・・・。


社会科見学をする場面は面白かったです。リサイクル工場で障害者について考えたり、投資家の会社に見学に行ったり。。。会社を見学するのは大人も子供も楽しめて良いですね。知らない世界を学べた気になります。


この本の1番の盛り上がりどころは、後半の親子のやりとりだと思うのですが、その場面はとても面白かったです。これまでの伏線が回収されて、謎が解き明かされていくのは爽快でした。祖母が言っていた従業員のことも考えるとか、取引先や、金融機関のことも考えなければいけないとはその通りだと思いました。大人と子供の考えのずれがうまく表現されていて、面白い小説を読んでいるようでした。著者にはこんな金融の本ではなく、小説を書いてほしいと思いました。

1つだけ納得がいかなかったのは、主人公の少年がクラブに入るきっかけが漠然とし過ぎていたことです。父親同士が同級生であることが伏線になっていなかった(たまたま偶然だった)という結論はいかがなものかと思いました。もう少しちゃんとストーリーを組み立ててほしいと思いました。


全体的にはまあまあな本だと思いました。amazonで☆4つ付いているのは、高評価すぎると思いました。面白くないわけではないですが、読者ターゲットはかなり限定されている本だと思いました。中高生や大学生くらいが読むとちょうどいいと思います。



未来型国家エストニアの挑戦  ラウルアリキヴィ 前田陽二

気になった部分を適当にまとめます。




エストニアのICT構築に対する国家予算は年間70億円程度で、日本の予算と比べると1%に満たないが、電子政府の利用においてはるかに先に進んでいる。

エストニアの人口は日本の100分の一くらいなので、予算の比較だけでは意味がないと思いました。価値観なども違うでしょうし。もっと細かい比較が知りたかった。


インターネットの利用は電気や水道の利用と同様に国民の基本的権利とされ、公共施設はもちろんのこと、喫茶店やマーケット、ガソリンスタンドでも無線LANでインターネットを利用することができる。

これは便利ですね。



エストニアでは僻地は別として12年間同じ校舎に通う。いわば小中高一貫教育で、中学や高校受験がないかわりに小学校受験がある。住んでいる学区の中でも人気に差があるため、簡単な入学試験が行われる。

高校卒業者の進学率は75%でそのうちの66%は大学へ、残り33%は専門学校などに進む。

いじめなど起きたときに、どう対処しているのか気になりました。12年間も同じ校舎に通うのは、人によってはとても苦痛だと思います。例えば、小学校低学年で変なあだ名をつけられたら、高校卒業までそのあだ名で生活しなければいけないということですよね…。つらい…。


法律で大統領や首相の給与は国民の平均所得の4倍以下に、議員の給与はその0.65倍に抑えられている。

外国は政治家の給料が低いですね。


モバイルIDは電子認証と電子署名のための手段であり、eIDカードと同様に電子署名用証明書と電子認証証明書の2種の証明書と秘密鍵が携帯電話のSIMカードに保管される。

eIDカードは政府が保有する個人のデータベースの鍵の機能を持っているだけで、鍵そのものにはデータが含まれているわけではない。

確か1番普及している暗号化の方法ですね。なんか大学で習った気がするけど、どんなものだったか忘れてしまいました。


「世界的に最も知られているエストニアの会社は?」と聞かれれば、まずSkype社があげられるだろう。現在はルクセンブルグに本社があり、マイクロソフトが所有しているにもかかわらず。

Skypeエストニアで開発されていたことを初めて知りました。IT系の開発で言えばイスラエルもすごいらしいですね。



現在、130万人のエストニアの人口の内、約30万人がインターネットを利用することができない。16歳から74歳の市民の約18%がインターネットを使用する方法がわからないし、必要なスキルを持っていない。これらの人々は、低所得と低教育レベルの人々、あるいは高齢者である。

これは意外でした。エストニアでは、ディジタルディバイドの問題は解決していると勝手に思っていました。18%の人々は社会から取り残されてしまっているようです。いったいどうやって生活しているのでしょうか?気になります。




感想

エストニアの全人口の約18%が、インターネットの使用方法がわからないというのは驚きでした。気になって日本のデータを調べてみたら、同じような結果がでてきて、さらに驚きました。

情報通信白書 for Kids:インターネットの世界:インターネットの統計:日本のインターネット利用者数



情報にアクセスできる人とできない人では、人生に大きな差が生まれます。情報を得ないほうが幸せという場合もあるでしょうけれど、役所がIT化された世界でインターネットを使えないというのはさすがに厳しいと思います。



今の日本でも、知識がないために、役所からもらえる給付金や減税などの処置を受けることができない人がいます。それを考えると、IT化しようがしまいが、国の制度の恩恵を受けることができない人が必ず発生して、必ず格差が生じるのでしょう。

でも、IT化によってその差を縮めることは可能だと思うので、日本の役所ももっとIT化していってほしいです。



マイナンバーってほんと何の役に立ってるのか疑問、なんで役所で身分証明書とマイナンバーカードを一緒に提出しないといけないんだ…早くなんとかしてくれ…


2017年に読んだ本を適当にまとめる

お嬢さまことば速修講座


お嬢様が使う言葉を学べる本です。ブログやツイッターで書くためのネタを考えるのに使えるかもしれません。



失われた名前 サルとともに生きた少女の真実の物語


サルに育てられた女性の昔話です。本当なのか嘘なのかはわかりませんが、とても衝撃的な内容でした。



死にカタログ


世界中の人々が、死についてどういうとらえ方をしているのかをまとめた本です。個人的に、チベット密教の「死後は鳥にのって天国へいく」という考え方が気に入りました。私も死んだときはそうなってほしいです。



誰も調べなかった日本文化史


読み物として面白かったです。



道徳感情はなぜ人を誤らせるのか


タイトルと内容が一致していませんでしたが、ノンフィクション本として面白かったです。



空想世界構築教典 増補改訂完全版


ファンタジーの辞書。ファンタジー系のゲームや小説、アニメ、マンガなどの作品を作りたいと思っている方におすすめの本です。



ゲンロン4 現代日本の批評III


この本の内容云々よりも、この本の内容をまとめたブログ記事をツイッターでつぶやいたら、著者に引用リツイートされたことがとても印象に残りました。正直ビビった。



歯はみがいてはいけない


歯はみがいてはいけないと言っていますが、寝る前は必ず磨かなければいけません。注意しましょう。



自殺のない社会へ


回帰分析を用いて自殺対策を考えた本です。災害が起こると社会的なつながりが強化されて自殺率が減少するというのが興味深かったです。



爆発的進化論 1%の奇跡がヒトを作った


恐竜は絶滅していないという事実をこの本で初めて知りました。



文明としての江戸システム 日本の歴史19


とても内容の濃い本でした。



限りなく完璧に近い人々 なぜ北欧の暮らしは世界一幸せなのか?


読みにくい本でした。



夜は短し歩けよ乙女


面白かったです。最近映画化されました。



イデオロギーの崇高な対象


真の犠牲とは犠牲のための犠牲である。



現代語訳 般若心経


読みやすい本でした。



ニートがひらく幸福社会ニッポン―「進化系人類」が働き方・生き方を変える


ニートのための本でした。ニートはこの本を読むべき。



人生に生きる価値はない


面白かったですけど、著者の意見にはあまり共感できませんでした。



少女は卒業しない


つまらなかった…。



微分積分 微分


意外と面白かった。



微分積分 積分


微分が面白かったら、積分も面白い。



感覚のふしぎシリーズ第2回 色覚のしくみ


面白かったですけど、興味のない人にはつまらない内容だと思います。



現代訳論語


kindleで無料で読めます。



堂々と逃げる技術


著者の気持ちは伝わってきましたけど、あまり面白くありませんでした。



時をかけるゆとり


意外と面白かったです。



チア男子!!


つまらなくはないけど、面白くもないかな、という印象でした。



「子供のために」を疑う 10代の子供を伸ばす7つの知恵


ニートのための本です。



もういちど生まれる


とても面白かったです。とても好きです。2017年ベスト本でした。



地下室の手記


面白かったです。主人公がとても印象深く残りました。



ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告


知識がなさすぎてまったくわからなかった…。



Unity5 3D/2Dゲーム開発実践入門


良い本でした。



UnityではじめるC# 基礎編


良い本でした。勉強になりました。



なぜ人はゲームにハマるのか


拡張身体という概念をこれで知りました。



世界地図の下書き


面白かったです。



ネガポ辞典


女子高生が作って有名になった辞典を本にしたものです。



Game Programming Patterns ソフトウェア開発の問題解決メニュー


ほとんど読んでいません。ごめんなさい。



武道館


面白かったけど、内容が浅い印象を受けました。



星やどりの声


面白かったです。家族愛。



火花


終盤の妙なバッドエンドが面白かったです。



スペードの3


2017年で2番目に面白かったです。



ままならないから私とあなた


面白かったですけど、なんとなく好きではないです。



ゲームプランナー集中講座


面白かったですけど、内容を忘れてしまいました…。



イデア大全


面白かったです。時々読み返してます。



自作ゲーライフ


とても面白かったです。ゲームを作りたいと考えている方に向いている本です。



ゲームを動かす発想と技術


格闘ゲームを作りたい方にオススメです。



都市と地方をかきまぜる


「はじめに」の文章が素晴らしかったです。内容は微妙でした。



座り方を変えれば、身体の疲れがイッキに取れる!


読む必要ないです。



論語の本


論語の勉強になる本です。



脳・心・人工知能


面白かったです。専門的な内容が多くて難しいところもありましたが、ブルーバックスだと普通だと思います。



ゲンロン0


面白かったです。読みやすかった。



なるほどデザイン


良い本でした。



デザイン入門教室


良い本でした。



ゲームを作りながら楽しく学べるPythonプログラミング


画像の処理部分で挫折してしまいました…。



色の辞典


安かった。



暗号解読



面白かったです。でも少し難しかった。



闇ウェブ


シルクロードという闇サイトの存在をこの本で知りました。



人工知能は人間を超えるか


とても面白かったです。YouTubeにある著者の動画も見るとなお良い。



ダムの科学


面白かったです。カラーで見やすかった。



ナイフ


面白かったです。いじめの本です。



とんび


面白かったです。



天使とは何か


宗教の知識がないので、まったく理解できなかった…。



夏と花火と私の死体


面白かったです。衝撃のデビュー作。



くたばれPTA


あまり面白くなかった…。



憲法主義


とてもわかりやすくて勉強になる本でした。2017年で3番目に面白かったです。



発電工学


内容はほとんど理解していませんが、やっぱり原子力が主要なのだなという印象を受けました。



STEP精神科


勉強になりました。



マンガでわかる! 幼稚園児でもできた!! タスク管理超入門


99円だったので、買ってみました。マンガなので読みやすく、内容もわかりやすくて役に立ちました。











2018年はどれくらい本を読むだろうか…。良い年になってほしい。ファビュラス。
f:id:gowalk:20171214223817j:plain

最近読んで面白かった本 2017/08

個別に感想を書くほどではないけれど、面白いと感じた本を雑にまとめます。



自作ゲーライフ


1人でゲーム開発したい方向けのアドバイス本です。「現実的ダウンロード数でマネタイズ」することを目標としていて、とても参考になりました。ゲーム開発に興味のない方でも、個人でゲーム開発をしている人が何を考えてどんな生活をしているかを知ることができるので、業界研究本・日記として楽しめると思います。特に、チートに対する対応策がとても興味深かったです。そんな方法をとっているのか!と驚きました。


感覚のふしぎシリーズ第2回 色覚のしくみ


約10ページしかなく図も多いので、全体的に薄い本ですが、目がどのようにして色を感じ取っているのかを分かりやすく学ぶことができます。よく言えば「色覚のしくみ」に特化した内容、悪く言えば「色覚のしくみ」以外の話をまったくしていない内容になっています。私は、この内容に非常に興味があったのでとても勉強になりました。


都市と地方をかきまぜる


内容自体はあまり良いものだと思いませんでしたが、「はじめに」の部分は、私が今まで読んだ本の中で最も面白い文章だと感じました。「はじめに」の部分だけでも読む価値があると思います。私はこの本の「はじめに」の文章の書き方・表現の仕方・興味の引かせ方に衝撃を受けました。引き込まれる文章歴代No.1です。


脳・心・人工知能


数理脳科学者の世界的権威が書いた人工知能に関する本です。脳を再現するとはどういうことなのか、脳を紐解く数理の技術、心とは何なのか、パーセプトロン、強化学習、ヘブ学習、シンギュラリティなどなど専門的な内容が書かれています。正直難しくてあまり理解できていませんが、「脳を再現する知識」を得るにはとても良い本だと思いました。


暗号解読(上)(下)


暗号の歴史について書かれた本です。数学が多く出てくる内容でしたが、歴史の読み物としても読めると思いました。クリプトグラフィー、ヴィジュネル暗号、エニグマ公開鍵暗号方式、どのように暗号が利用され解読され改良されてきたのか丁寧に解説してあります。ボリュームたっぷりでした。


闇ウェブ


シルクロード」というサイバー闇市場の創設者ウルブリヒトの逮捕劇について書かれた本です。サイバー闇市場がどのようなものなのかざっくり知ることができました。


ダムの科学


基礎的なダムの知識を得ることができます。ダムに興味のある方は、とりあえずこの本を読まれると良いと思います。図が豊富で見やすく、簡潔な解説でわかりやすかったです。


ナイフ


全5話の短編集です。5話の内4話がいじめの話、残り1話が子育て夫婦の話です。どの話も面白かったですが、特に子育て夫婦の話が好きでした。


とんび


417ページの長編小説です。親子愛にしびれました。


イデア大全


イデアの出し方をまとめた本です。古今東西のあらゆるアイデアの出し方が書かれています。良いアイデアが浮かばなくて困っている方は、この本の中から手当たり次第に試してみると良いかもしれません。持っておいて損はしない本だと思います。人生を生きぬくためのアイデアもこれで思いつくかも…?

人工知能は人間を超えるか (角川EPUB選書) 松尾 豊

とても人気らしいので読んでみました。

引用と感想

人工知能が人間を支配するなどという話は笑い話にすぎない。

いまの人工知能は、実力より期待感のほうがはるかに大きくなっている。


実際にできること、これからできそうなこと、これからできるかもしれないが夢物語のようなこと、がごっちゃになってしまっているのが現状だそうです。




〈レベル1〉単純な制御プログラムを「人工知能」と称している
エアコンや掃除機、洗濯機、最近では電動シェーバーに至るまで、世間には「人工知能」を名乗る商品があふれている。こういった技術は、「制御工学」や「システム工学」という名前ですでに長い歴史のある分野であり、これらを人工知能と称するのは、その分野の研究者や技術にも若干失礼だと思う。


〈レベル2〉古典的な人工知能
将棋のプログラムや掃除ロボット、あるいは質問に答える人工知能などが対応する。


〈レベル3〉機械学習を取り入れた人工知能
検索エンジンに内蔵されていたり、ビッグデータをもとに自動的に判断したりするような人工知能である。


〈レベル4〉ディープラーニングを取り入れた人工知能
機械学習をする際のデータを表すために使われる変数(特徴量と呼ばれる)自体を学習するもの。




言われたことだけをこなすレベル1はアルバイト、たくさんのルールを理解し判断するレベル2は一般社員、決められたチェック項目に従って業務をよくしていくレベル3は課長クラス、チェック項目まで自分で発見するレベル4がマネジャークラス、という言い方もできるだろうか。 みなさんも、ニュースや製品情報に出てくる「人工知能」や「AI」が、この4つのうちのどのレベルを指しているか、考えてみると面白いかもしれない。

この分類はとても分かりやすかったです。



囲碁は、将棋よりもさらに盤面の組み合わせが膨大になるので、人工知能が人間に追いつくにはまだしばらく時間がかかりそうだ。

2016年の3月に勝ちました。この予測は誤りだったようです。(この本の発売日は2015年3月)


iPhoneにはSiriという音声対話システムが入っている。その反応が面白いと話題になり、Siriに「愛している」「結婚して」と話しかける人が続出したが、イライザはテキストベースでもう50年も前にその原型を実現していたのだ。(もちろんSiriには、その後に脈々と続く対話システムの研究成果がたくさん取り入れられている。2000 年代、スタンフォード大学をはじめ、米国のたくさんの大学が連携したCALOというプロジェクトの成果がベースになっている。)


技術の雛形はあったけれど、最近になるまで一般人が利用することがなかったということですね。


民事裁判、特に離婚や相続でもめている案件については、情緒的な面を含めて、当事者の利害関係を調整するという面があり、人間が得意なところかもしれない。「あなたの主張が法廷で通る確率は5%だ」と機械に言われるよりも、人の顔を見て話して納得 したい人は少なくないはずだ。

やはり、人とのコミュニケーションの部分は人工知能で代替するのが難しい分野のようです。あと、「非常に大局的でサンプル数の少ない、難しい判断を伴う業務」(経営者や事業の責任者)の仕事も人工知能には難しいようです。



シンギュラリティで議論されているような「真に自己を設計できる人工知能」の実現は遠く、現在のところ、その糸口さえもつかめていない。それが技術の現状である。


シンギュラリティに悩むくらいなら、日々の生活の不安に悩むほうがよさそうです。

そもそも、シンギュラリティは本当に来るのでしょうか。仮に来たとしても困るのは人間だけだと思うので、私にはどうでもいいです。人間が滅びて困るのは人間だけですから。私は人間が永く生き延びてほしいという願いがないので、シンギュラリティの話に興味がわきません。




YouTubeに著者の講演があったので貼っておきます

【SoftBank World 2016】 人工知能は人間を超えるか 松尾 豊 氏

現在使用されている人工知能は、これまでの技術の積み重ねでできている

ディープラーニングの分野は大きな可能性を秘めている。投資対象である。

最後に


人工知能の、現状と理想と課題について理解が深まる本でした。ためになりました。


忙しい人のための「ゲンロン0 観光客の哲学」東浩紀

分量の多いゲンロン0を勝手にまとめました。



はじめに

この書物はすべてぼくが書きました。

この書物は誤配の産物である。



第1部 観光客の哲学

第1章 観光

古代ギリシア以来、新しいものなどいっさいないのが哲学というものである。

「まじめかふまじめかわからないテロリスト」(21世紀のテロリスト)をより正確に表象することができるのは、政治ではなく文学。



付論 二次創作

ひとは、気に入った投稿を素朴に「いいね!」するわけではなく、「いいね!」をつけると他人からの評判が上がるものに対してこそ、積極的に「いいね!」をつけていく。

観光客=現実の二次創作者



第2章 政治と外部

ルソーは人間が嫌い

カントは巨大

ハンナ・アーレントはハイデガーの愛人


f:id:gowalk:20170527192617p:plain

図1.相関図


第3章 二層構造

国家⇔市民社会
政治⇔経済
思考⇔欲望
ナショナリズム⇔グローバリズム

マルチチュードが集まり声を上げれば(デモなどすれば)あとはなんとかなるという信じる力で世の中変わるのか?



第4章 郵便的マルチチュードへ

自由だが孤独な誇りなき個人(動物)か、仲間はいて誇りもあるが結局は国家に仕える国民(人間)かの2択しかない時代

マルチチュードが郵便化すると観光客になる。観光客が否定神学化するとマルチチュードになる。

観光客=郵便的マルチチュード

「人間の条件」⇔その外部
政治⇔その外部
国民国家⇔帝国
規律訓練⇔生権力
正規分布⇔べき乗分布
コミュニタリアン⇔リバタリアン
スモールワールド⇔スケールフリー
これらは同時に生成される

誤配をスケールフリーの秩序から奪い返すことが、グローバリズムの抵抗の基礎だと考える。



第2部 家族の哲学(序論)

第5章 家族

政治を動かすのは、お祭りではなく日常。動員ではなくアイデンティティ。

自由意志に基づいた連帯は自由意志に基づきたやすく解消される。

世間では「子どもは親を選べない」と言ったりするが、それは哲学的には不正確である。ほんとうの意味で「選べない」、すなわち偶然性に曝されているのは、むしろ親のほうである。

ある親からある子どもが生まれることには、じつはなんの必然性もない。みな親から見れば偶然なのだ。

すべての家族は本質的に偶然の家族である。言い換えれば、家族とは、子の偶然性に支えられたじつに危うい集団なのである。

だれが家族でだれが家族でないかは、ときに私的な情愛により決められる。

一緒に住み、「同じ釜の飯」を食えば、生と生殖がなくとも家族とみなされる。

たまたま孤児に出会いかわいそうに思ったから養子にする、その柔軟性は、家族がまさに、「憐み」に開かれていることを意味している。

偶然に基づいた家族は、偶然に基づき拡張できる。

現代人は会ったことのない大叔父よりも、飼っている犬のほうを家族だとみなすかもしれない。

家族のメンバーシップは私的な情愛だけで支えることが可能なので、ときに種の壁すら越えてしまう。それは憐みが引き起こした誤配である。

憐れみ=誤配が種の壁を越えてしまっているからこそ、ぼくたちは家族をつくることができるのである。



第6章 不気味なもの

ハッカーたちは、資本主義の本質を否定しないまま、反資本主義的な理想をナイーブに語ることができた。言い換えれば、生々しい富への欲望を抱いたまま、無欲な共産主義者であるかのようにふるまうことができた。オープン、シェア、フリーなど、反資本主義的なバズワードを生みだすアメリカ人は同時に多くが億万長者だが、彼らがその矛盾に苦しんでいるようすはない。

サイバースペースとは最初からアメリカの別名にすぎなかった。

不気味さの本質は、親しく熟知しているはずのものが突然疎遠な恐怖の対象に変わる、その逆転のメカニズムにある。

本アカと裏アカの区別はしばしば失効する。

いまやかつてイデオロギーがあった場所はコンピュータに占められ、コンピュータの秩序はかつてのイデオロギー以上にぼくたちを支配している。



第7章ドストエフスキーの最後の主体

社会改革の理想に燃えた人間が、過激な運動を経ていつのまにかニヒリストになってしまう。

リベラリズムの偽善を乗り越え、ナショナリズムの快楽の罠を逃れたあと、グローバリズムのニヒリズムから身を引きはがし、ぼくたちは最終的に、子どもたちに囲まれた不能の主体に到達するのだ。それこそが観光客の主体である。

世界は子どもたちが変えてくれる。

子どもとは不気味なもののことである。

親とは誤配を起こすこと、偶然の子どもに囲まれること。

子として死ぬだけではなく、親としても生きろ。





A Philosophy of the Tourist



Part1 A Philosopy of the Tourist

Chapter One: Tourism

Tourism is phenomenon of modernity.


Supplement: Secondary Derivative Works

We might say that the tourist makes secondary derivative works out of reality itself.


Chapter Two: Politics and Its Other

We need a new philosophy.


Chapter Three: Stratified World

We might say that this is also the stratification between the sphere of humans and animals, or communitarianism and libertarianism. The concept of the tourist is conceived of as new subject who is able to move between these two strata freely.


Chapter Four: Toward a Postal Multitude

Human society mathmatically contains both small-worldness and scale-feeness.

Without misdelivery or pity we have no society, no solidarity.


Part2 A Philosophy of the Famiry: Introduction

Chapter Five: Family

The sense of family sometimes extends beyond the boundaries of species.


Chapter Six: The Uncanny

The subject of an information society should not be described as an avatar in cyberspace but as that being ensconced in the uncanny.


Chapter Seven: Dostoevsky's Final Subject

To Overcome both the individual and the nation, we must stand in the position of a parent within interwined communications of misdelivery and family resemblance. That is the experience of the tourist.



ゲームプランナー集中講座 ゲーム作りはテンポが9割(SBクリエイティブ)吉沢 秀雄

とても参考になる本でした。


引用と感想

 アイデアを考えた時は、そのアイデアをプレイしている時のことを頭の中に思い浮かべて検証するわけですが、この時重要なのは「動画で考える」ってことです。(略)自分が遊んでいるとどんな気持ちになるのかを想像するのです。この脳内シミュレーションをずっと続けていると、ある時、「おっ!」と思って心が動く瞬間が訪れるのです。

 このように言葉でなく、位置や配置などでメッセージを伝えることが重要です。言葉で伝えた場合、それはそれ実行するだけの「作業」になってしまいます。しかし仕様で伝えた場合は、プレイヤーが自分で気づいて解いた気分が味わえるので数段達成感や満足感が高まるのです。

 他のゲームとは違ったテンポに惹かれて遊び続けたプレイヤーも、次第にそのテンポに慣れてしまい、新鮮さを失って飽きてしまうのです。そうならないために、今まで遊んで身に着けてきたプレイ技術はそのままに、しかしテンポの違う遊び方を提示するのです。すると今までのプレイでマンネリになっていた遊びが、再び息を吹き返し、新鮮さを取り戻すのです。

 せっかく一から新しくゲームを創るのですから、すでに存在するゲームの亜流とかではなくて、まだ存在しないもの、体験したことのないこと、見たことのないもの、味わったことのないおもしろさ、感じたことのない触感を探し求めてほしいですね。
 前にも述べましたが、100%新しいものという意味ではないですよ。何とか新しさが入れられないか、何とか違った切り口にできないか、違った感触でやれないか、を追い求めていくのを続けようということです。常に自分が創るものが人にどんな未知の体験を提供しているのかを意識してください。

 この世に同じものはふたついらない。この世にないものを創ろう


どうやってゲームを創ればいいのかがよくわかる本でした。


タイトルにも入っている通り、ゲーム作りはテンポが9割だと著者は述べています。本の中でも、「テンポ」という言葉がことあるごとにでてきます。とにかくテンポが重要で、テンポを基準にしてゲームは作らなければいけないと言っています。


どのようにテンポを作るのか、どのようにテンポをよくするのか、どのようにテンポを相手に伝えるのか…テンポについて多くの記述があり、とても勉強になりました。



最後に


ゲームを作りたいと考えている方は、この本はとても参考になり、モチベーションを上げる材料にもなると思いました。おすすめです。


個人的 朝井リョウ小説ランキング

朝井リョウ氏の小説を勝手に順位付けしました。

1位 何者

現代の大学生の就活を描いた直木賞受賞作品です。1番好きです。

だから、俺は絶対に言ってやらない。

2位 もういちど生まれる

5人の若者を描いた短編集です。個人的にかなり好きな作品でした。気持ちはすれ違うものですよね。

もういちど生まれたみたいだった

3位 スペードの3

女性の意地悪さとそれに伴う社会的評価を描いた作品でした。黒い感情が渦巻く女性の人間関係は恐ろしいですね。

これは呪いだ。

4位 星やどりの声

父親を亡くした7人家族の話です。家族愛がひしひしと伝わってきて、心を揺さぶられました。

その人に消火器とか向けだしてホントもう意味わかんない

5位 世界地図の下書き

施設で暮らす子供たちの話です。この話はいじめがテーマになっていて、読んでいてつらくなるシーンが多くありました。現実と希望について考えさせられる作品でした。アニメ化されたらいいなと勝手に思いました。坪田譲治文学賞受賞作品です。

ユーレイみたいなんよ

6位 武道館

アイドルの恋愛を描いた作品です。アイドルの内情を描いていて面白かったですが、実際のアイドルはもっとドロドロしていて複雑だと思います。

私は、何も変わっていないんです

7位 ままならないから私とあなた

ままならない人間を描いた作品です。感情を揺さぶられるストーリーで楽しめましたが、内容はそこまで深くないかなと感じました。

今の世界にずっといられるかどうかなんて、誰にもわかんない

8位 チア男子!!

チアリーディングをする男子大学生の物語です。この本を読むまで、男性がチアリーディングをする文化があることを知りませんでした。「男子チアリーディング」という題材で作品を書くのはとても大変だったと思います。キラキラした青春ものが好きな方にオススメです。

世界で一番美しい形で土下座をしていた。

9位 桐島、部活やめるってよ

よくわからない…。文学って感じ?カーテンの描写が印象に残りました。すばる新人賞受賞作品です。

10位 少女は卒業しない

どこもかしこもリア充ばかり。全然面白くありませんでした。7名の少女の恋愛物語を描いた短編集なのですが、私には合いませんでした。女性が読むと面白いのかもしれません。

返したら、もう、終わりなんですよね

番外編 時をかけるゆとり

著者のエッセイ集です。面白いです。リア充です。

エンジョイ♪




新しい作品を読み終わり次第追加していきます。

なぜ人はゲームにハマるのか(SBクリエイティブ)渡辺 修司 中村 彰憲

引用と感想

ゲームの定義は技術によって変化する。

ゲームを定義することは難しいことのようです。さやわか氏は著作「僕たちのゲーム史」の中で、ゲームとは「ボタンを押すと反応するもの」という定義をしていました。これも、必ずしも正しい定義ではないのかもしれません。ボタンを押さないでも反応するゲームはありますからね。技術によって変化するという定義が正しいのかもしれません。

ゼビウス」によって世界観とストーリーを設定することが主流になった。

ゼビウスはプレイしたことがないので詳しくはわかりませんが、世界観とストーリーはゲームを盛り上げる要素として重要だと思います。

サイトウ・アキヒロにより、ユーザーインターフェイスに関するノウハウは体系化された。これはゲームニクスと呼ばれている。

ゲームニクスという言葉を初めて知りました。最近のゲームはゲームニクスに基づいて作られているものが多いようです。

三人称視点は、ゲームで身体の役割をするキャラクター(拡張身体)から考えても、明らかに別の位置から見る視点でである。しかし私たちの脳は、その視点を習得することができる。これは「脳による視点の再学習」と言える。

この本で一番興味深かったのが拡張身体という概念です。マリオであっても、テトリスであっても、”自分の身体をゲーム上の対象物に拡張させて動かしている”らしいです。

ゲームを作る行為は、「現実世界とはまったく異なる世界を新たに作り出す」ことではなく、現実世界の人間の身体の特性、また世界や作用空間の特性との相互関係を理解し、その理解を基盤として、プレーヤーにとって分かりやすい形に抽象化された身体や世界を提供すること。

これは意外でした。現実世界と異なる空間を作り出すものだと思っていましたが、違うようですね。

人は少しだけ難易度が高い方向を目指す

ゲーム制作において難易度バランス調整は最終段階に行うが、難易度バランスをどのように提供するかは、ゲーム企画そのものに直結する重要な要素である。

ゲームは、ゲームデザイナーが想定しない効率予測を、プレイヤーが発見する可能性を常に帯びている。

TASのfastest crashやマリオのロースコアクリアなどの縛りプレイがまさにそうですね。



最後に

勉強になる本でした。「ラピッドリバー」という川下りゲームが本の中に出てきて、小さいころゲームセンターで見かけた記憶がよみがえりました。(゚∀゚)



本の追加解説ページ
online.sbcr.jp

火花 (文春文庫)又吉直樹

面白かったです。

商品の説明

売れない芸人の徳永は、天才肌の先輩芸人・神谷と出会い、師と仰ぐ。神谷の伝記を書くことを乞われ、共に過ごす時間が増えるが、やがて二人は別の道を歩むことになる。

Amazonより引用

感想(微妙にネタバレあり)


私は純文学をあまり読まないので、純文学的な面白さに関してはよくわかりません。ですが、ところどころに出てくる独特な表現を面白いと感じることができました。特に始まりの文章

大地を震わす和太鼓の律動に、甲高く鋭い笛の音が重なり響いていた。

はとても美しい文章だと思いました。



この小説は、売れている芸人が芸人を描いた作品になっています。主な登場人物である徳永と神谷は2人とも芸人で、ストーリーのいたるところでボケと突っ込みを繰り広げます。売れている芸人が芸人のことを書いたから面白かったのか、又吉直樹氏の文章力がすごいから面白かったのかどうかわかりませんが、ストーリーの中にちりばめられたボケと突っ込みのやり取りはクスッとくるものも多かったです。

「会話になってもうとるやんけ」




最後は悲しい終わりだったのですが、個人的にあの終盤のストーリーは凶悪なバッドエンドだと思いました。神谷の選択した行為の意味がまったくわかりませんでした。人が亡くなるとかそういった一般的なバッドエンドとは異なる、新しいバッドエンドを見せられて、戸惑いと感動を覚えました。理解できない人間の奇妙さに、嫌悪感を抱きました。


中盤までは神谷のことを理解できる気がしていたのですが、終盤のあの行動は本当に理解できませんでした。これまで言ってきたことと逆の行動を自分で正当化していて、まったく共感できませんでした。あの終盤の行動で、神谷のことが嫌いになってしまいました。

こいつは何を考えているのだろう。

最後に

面白いので、読む価値あります。文庫化されて安くなってます。GW文春祭りセールで、50%ポイント還元になっています。(2017年5月4日(木)23時59分(日本時間)まで。)


「地下室の手記」(光文社古典新訳文庫)ドストエフスキー 安岡 治子

 言うまでもなく、友人たちとの親交は長続きしなかった。あっという間に仲違いし、若気の至りでまるで絶好でもしたように連中に挨拶することさえ止めてしまった。もっとも、そんなことは、たった一度きりのことだったのだが。そもそも俺は、いつも一人ぼっちだったからな。
 家ではもっぱら読書三昧だった。外からの刺激で、己の内に絶え間なく煮えたぎっているもののすべてをなんとか抑えこみたかったのだ。そして俺にとって実行可能な外からの刺激と言えば、読書しかなかったのである。もちろん読書は大いに役に立った。興奮も、喜びも、苦しみも与えてくれた。しかし、恐ろしいほど退屈な時もあった。
95,96p


虚しくて悲しい小説でした。



主人公がとにかく嫌われる人間で眉をひそめたくなる行動や、あきれてしまうような発言ばかりします。ここまで性格が曲がってしまっている理由はよくわかりません。犯罪を犯すわけではないのですが、モラルの欠如がはなはだしいです。ほんとうにどうしようもないだめな人間です。


誰しもこの主人公と同じような一面を持っていると思いますが、この主人公ほどひどくはないでしょう。


なぜこんな人間になってしまったのでしょうか。なぜこんな人間なのでしょうか。


生きていることが不幸であるかのような生活。


私が考えるに、この主人公は何をしても怒るのだろうと思います。怒ることに理由があるわけではなく、理由もなく怒ってしまう。プライドが高いけど、何もできないダメなやつ。


友達もいない、出世もしない、恋人もいない。貧乏で、卑屈で、プライドが高い。常にイライラしていて、頭の中で嫌いな人間に仕返しすることを考えているけれど、臆病なのでできない。頭の中では他人を見下しているけれど、態度に示せない。誇大した自己に耐えられず、暴言を吐いてみるけれど、相手にされない。暴言を吐いても相手にされないので、さらにイライラする。





私は、すべての人間が幸せになってほしいと漠然と願っていますが、この主人公のような人間を幸せにする方法は思いつきません。このような人間を救ってくれる人間(社会)は存在するのでしょうか。


そもそも、この主人公にとっての幸せはどこにあるのでしょうか。


もしかしたら、この主人公は「怒ること」自体が幸せで、それ以外の行動に自分の価値を見出せなくなっているのかもしれません。仮にそうであったとしたら、この主人公を救うことはできないのかもしれません。救おうとするだけ無駄で、常に犯罪予備軍として社会から監視され、管理される立場で居続けなければいけない存在なのかもしれません。このような人間は存在している理由もなく、存在している価値もなく、邪魔な存在でしかないのかもしれません。誰の利益にもならないし、迷惑ばかりかける。


私はこの主人公の人間としての価値を見出せませんでした。




しかし、社会にはこのような人間が存在していて、今もどこかで生きているのでしょう。



そんなことを考えると、虚しいですね。



とにかく虚しい本でした。



「イデオロギーの崇高な対象」(河出文庫)スラヴォイ・ジジェク 鈴木昌

気になったところを勝手に引用します。


われわれは、根源的解決をめざすという意味では「根源的」であってはならない。われわれはつねに借り物の時間の中で隙間に生きているのであり、すべての解決は暫定的・一時的であり、いわば根源的不可能性を先延ばししているだけである。

No.207

潜在的な夢思考」には「無意識的」なところなど何ひとつない。

No.282

この欲望の唯一の場所は「夢」という形態の中である。夢の真の主題(無意識的な欲望)は、夢の作業の中に、すなわち夢の「潜在内容」の加工の中に、あらわれるのだ。

No.309

交換過程の社会的現実性は現実の一部であり、それに参加している人間がそれの本来の論理に気づかない場合にのみ存在しうる。すなわち、その存在論的整合性が、その参加者たちのある種の非知を含んでいるような現実である。もし人が「よく知っている」ようになり、社会的現実の真の機能を見抜いたならば、この現実は霧散してしまう。

おそらくこれが「イデオロギー」の基本的次元である。イデオロギーはたんなる「誤った意識」、つまり現実の幻覚的表象ではなく、その現実そのものである。それはすでに「イデオロギー的」なのだ。「イデオロギー的」なのは、参加者がその本質を知らないことを前提としているような社会的現実である。すなわち、その再生産のためには人間が「自分が何をしているのか知らない」ことを前提するような、社会現実性である。「イデオロギー的」なのは、(社会的)存在の「誤った意識」ではなく、その存在そのものである。その存在は「誤った意識」に支えられているのだから。

No.475

「かならず人間どうしの相互関係としてあらわれるのではなく、人間どうしの社会関係が物どうしの社会関係の形によって偽装される」── これが、資本主義社会に特有の「転換ヒステリー」の症候の正確な定義である。

No.608

真の悪とは、この世界に悪しか見ない無垢なまなざしである。

No.625

人は貨幣を使うとき、そこには魔術的なところなど何一つないことをよく知っている。貨幣はその物質性において社会的諸関係の表現に他ならないのだ、と。日常的な自然発生的イデオロギーは、貨幣を、「それを所有する者は社会的産物のある一定部分にたいして権利がある」ということを示すたんなる記号に還元してしまう。それで、日常的なレベルでは、人は、物どうしの関係の背後には人間どうしの関係があるのだということをよく知っている。問題は、彼らの社会的活動そのものにおいて、つまり彼らがやっていることにおいて、彼らは、まるで貨幣がその物質的現実性において富そのものの直接的具現化であるかのように活動しているということである。彼らは、理論上ではなく実際的に、物神崇拝者なのである。彼らが「知らない」こと、彼らが誤認していることは、かれらの社会的現実そのもの、つまり社会的活動 ── 商品の交換という行為 ── において、彼らが物神的な幻想に導かれているということである。

No.727

イデオロギーは、われわれが堪えがたい現実から逃避するためにつくりあげる夢のような幻想などではない。イデオロギーはその根底的な次元において、われわれの「現実」そのものを支えるための、空想的構築物である。

No.1095

イデオロギーの機能は、われわれの現実からの逃避の場を提供することではなく、ある外傷的な現実の核からの逃避として、社会的現実そのものを提供することである。

No.1101

ラカンの見方によると、もっとも「狡猾な」イデオロギー的手続きは、永遠化などではなく、むしろその反対物、すなわち速すぎる歴史化である。

No.1219

もし速すぎる普遍化が、その歴史的かつ社会-象徴的決定からわれわれの目をそらすための似非普遍的イメージを生み出すとしたら、速すぎるえ歴史化はわれわれを、さまざまな歴史化/象徴化を通じてつねに同じものとして回帰する現実の核にたいして盲目にするのである。

No.1226


もっと引用したかったのですが、制限があってできませんでした。「出版社がこのタイトルに設定したコピー制限に達しました。」という表示がでてきました。著作権で、コピーできる分量が決められているようです。







この本に興味のある方はこちらのサイトの解説を読まれるとよいと思います。私がコピーできなかった図が描いてあります。

ラカン理論のインストール手順 3 | OVERKAST ROUGHKUT







内容は面白かったのですが、完全に理解するのは難しそうですね…。誰か分かりやすく解説してくれないかなぁ。